早大、日体大が決勝へ。高橋塁と藍が初の兄弟対決、そして最終戦への思いを語る

兄弟対決の後、弟の高橋藍(左)が高橋塁(右)に歩み寄り、ツーショットが実現。仲のいい兄弟だ。

第73回 秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会(ミキプルーンスーパーカレッジバレー2020 )は12月4日(金)に5日目を迎え、準決勝、2試合が行われた。4年連続日本一を目指す早稲田大は、決勝を意識してか、やや硬さが見られたが、粘る順天堂大をストレートで下して決勝戦進出を決めた。続く日本体育大と日本大の一戦は、日本代表の高橋藍(日本体育大1年)と塁(日本大3年)の兄弟対決として注目を集めたが、西村信(主将/アウトサイド)、高橋良(オポジット)ら4年生に支えられて、高橋藍がのびのびとプレー。攻めの姿勢を貫いた日本体育大が日本大をストレートで破り、6年ぶりに決勝戦進出を決めた。12月5日(土)は3位決定戦〈順天堂大対日本大〉が行われる。

高校(京都・東山高)ではチームメイトだった高橋兄弟。初めての対戦が全日本インカレ準決勝の舞台で実現した。戦うことが決まり、先に反応したのは弟の藍だった。兄の塁へ「明日よろしくね」というメッセージを送り、兄弟でやりとりした後、家族LINEで兄弟対決を話題に盛り上がったという。「どちらが勝っても、悔いのない戦いを」という家族の言葉を受けて、「楽しんでプレーする」と決めた藍は、「(兄との対戦は)未知だったので、どんな感じなのかなとわくわくしながらコートに立った。いつになく新鮮な気持ちだった」と、試合前の気持ちを振り返った。「兄はサーブがいい。自分の位置では取りづらい回転をかけてくるので、兄のサーブでこちらがリズムを取られないようにしなければいけない…。それだけは意識していました」

一方、塁は、兄弟対決を楽しみにしていたものの、「前日(東海大戦)、調子が悪かったので、チームの雰囲気とともに自分の調子も上げて、なんとか勝利したいと思っていた」と、胸の内を明かした。「僕も藍もミスをしないプレースタイル。そこは共通していますが、僕は高さがない分、技で勝負したかった。でも、今日は自分の持ち味が出せなかった。藍は上からたたき込んできた」と悔しさをにじませた。

いつもの兄ではない、ということは、コート上で藍も察していた。「自分たちが仕掛けたことがはまったのかもしれないですけど、もっとブロックアウトだったり、インナーに打ったり…。そういう技術をもっている選手なので、おかしいなと。今日は調子が悪かったのかもしれません。いつもどおりのプレーをされていたら、こんなに楽に勝つことはできなかったんじゃないかと思います」

兄は技術、弟は高さが持ち味。セット序盤は競り合うも、日体大が徐々に抜け出し、優勢のまま試合を決めた。

「自分はずっと兄を見てバレーボールをやってきた。尊敬している選手」と藍が言えば、「藍はすごい選手。藍をはじめ、(大学界には)すごい選手がたくさんいるので、そういう人たちに勝てるように挑戦していきたい」と、塁にとっても藍は気持ちを掻き立てる存在だ。兄弟対決で思いを再認識した2人は、残っているそれぞれの一戦にかける意気込みを語った。

5日(土)の3位決定戦に臨む塁は、この日に感じた「もっとできたんじゃないかな」という思いを払拭し、日本大を表彰台へ、と気持ちを切り替えた。「(困難を乗り越え)チームがまとまって頑張れた結果が今、ここにいるということ。『乗せたら怖いチーム』と言われているが、来年度はいい時と悪い時の差を縮めて、ベスト4に恥じない力をつけたい。そのためにも、(3位決定戦は)しっかり戦いたい」と闘志を燃やす。

6日(日)の決勝戦に臨む藍は、「日体大も早稲田も(強い)スパイクやサーブを打てる選手が多いので、サイドアウトの勝負になりそう。いかにサイドアウトを取るかが勝負を分けるので、出だしからすごい駆け引きになるのかなと思う」と話した。今年、シニア日本代表の合宿や紅白戦に参加した藍は、「そこで自分らしいプレーができたので、自信がつき、気持ちに余裕ができた」と言う。早稲田にも同様の経験を積んだ大塚達宣(2年/アウトサイド)がいる。宮浦健人(4年/オポジット)、村山豪(4年/ミドル)、水町泰杜(1年/アウトサイド)らもアンダーカテゴリーの代表経験が豊富。尚かつチーム力も備えている早稲田大を相手に「自分の攻撃がどれだけ通用するのか。勝つために練習してきているので、王者である早稲田をどれだけ追い込んで、倒せるか。自分自身もすごく楽しみ」と、目を輝かせていた。

【準決勝 試合結果】

早稲田大学 3-0 順天堂大学

日本体育大学 3-0 日本大学

【3位決定戦 対戦カード】

順天堂大学 vs 日本大学 14時30分よりDAZNで視聴できます