【アジア選手権】頼れる石川不在で、最年少高橋藍が覚醒。「チームは自分が引っ張る」

男子のアジア選手権は、13日に千葉ポートアリーナ他で予選グループリーグ戦2日目を行い、日本はバーレーンに3-1(23-25、25-17、25-23、25-16)で勝利し、2勝目をあげた。

前日のカタール戦から大きくメンバーを入れ替え、高梨健太(ウルフドッグス名古屋/アウトサイドヒッター)、高橋藍(日本体育大学2年/アウトサイドヒッター)、大竹壱青(パナソニック/オポジット)、福山汰一(ジェイテクト/ミドルブロッカー)、山内昌大(パナソニック/ミドルブロッカー)、大宅真樹(サントリー/セッター)、小川智大(ウルフドッグス名古屋/リベロ)という布陣で臨んだ日本。オリンピック代表を逃したメンバーは、このチャンスを生かして存在感を示したいところだったが、前日インドを破り、勢いに乗るバーレーンに苦しい戦いを強いられた。

多少サーブレシーブが乱れてもクイック攻撃を多用するバーレーンに対し、ブロックの的を絞りきれず、第1セットを競り負けた日本。第2セットに入ると、「頼れる石川選手はコートにいない。誰が決め手になる? 自分だろう…」そんな自問自答をしたという最年少の高橋が奮起してセットを取り返した。

これで勢いに乗るかと思われたが、第3セットは再び、思うように点差を広げることができない展開。ベンチはセット中盤で大竹を諦め、宮浦健人(ジェイテクト/オポジット)を投入。その宮浦がシャープなスパイクでサイドアウトを奪い、チームを勢いづけた。終盤は、コースをつく高橋の鋭いサーブや、福山に代わりコートに入った小野寺太志(JT広島/ミドルブロッカー)のクイック攻撃などで得点し、日本は粘るバーレーンを突き放してセットを連取した。

続く第4セットは、宮浦、小野寺を続投。さらにセッターを大宅から藤井(東レ)に、リベロを小川から山本(堺)に代えて地盤を固めた。すると、五輪で自信を深めた小野寺、藤井、山本が地力を発揮。藤井は声を出し、表情豊かにチームに活気をもたらす。小野寺はブロックでタッチを取りチャンスを作る。攻撃では巧みなモーションで相手ブロッカーを引きつけ、アウトサイドヒッターのパイプ攻撃を援護する。山本は得意のディグで相手の得点を阻む。前日、シニアデビューした宮浦も肩の力が抜けて、落ち着いていた。こうした数字に表れない力により次第に歯車がかみ合い始めた日本は、セット中盤で逆転に成功。その後も、この日、最多得点(26点)の高橋が攻撃だけでなくブロックやサーブでも点を奪い、危なげなくこのセットをものにして、日本は3-1で勝利した。試合後、高橋が発した「(決め手としての)責任を果たせてよかった」という言葉が頼もしかった。

【TOKYO2020】イタリアに敗戦。日本男子のA組は全勝なし。4チームが2勝1敗で並ぶ混戦に

ミドルブロッカーによる得点が22。イタリアの戦略にはまり、初黒星を喫した

バレーボール男子日本代表は、7月28日(水)に有明アリーナ(東京都江東区)で予選ラウンド第3戦を行い、イタリアに1ー3(20-25、17-25、25-23、21-25)で敗れて2勝1敗となった。日本と同じA組で2戦2勝のイランも、この日カナダに敗れため、全勝が消えて4チームが2勝1敗で並ぶ混戦となっている。予選ラウンドは全5試合で、各組、上位4チームが準々決勝に進む。次戦は30日(金)。日本は強豪ポーランドと対戦する。(写真提供:FIVB)

厳しい戦いながらも、チーム最多の22得点でチームを牽引したキャプテン石川

スターティングメンバーは変わらず。関田誠大(セッター)、石川祐希(アウトサイドヒッター)、山内晶大(ミドルブロッカー)、西田有志(オポジット)、高橋藍(アウトサイドヒッター)、小野寺太志(ミドルブロッカー)、山本智大(リベロ)という布陣。

日本はカナダ戦同様、サイドアウトを取りながら、ブレイクのチャンスを待つ展開に持ち込みたかったが、第1セット中盤からは相手のサーブに崩されて、石川、西田に頼らざるを得ない展開となった。高さのあるブロックがしっかり2枚つく状況に、石川も厳しい表情。第2セットに入るとブロックにつかまる場面が増えて、日本ベンチは関田に代わり藤井直伸、高橋に代わり高梨健太、山内に代わり李博を投入。さらに終盤、石川に代えて、今大会初出場の大塚達宣をコートに送ったが戦況は変わらず。日本は第1セットに続き、第2セットも失った。

難しい局面でコートに立つことが多い藤井。相手を惑わすトスワークに期待がかかる

後がない第3セット。藤井、高梨、李をスタメンに起用した日本は、序盤からクイックやパイプなど真ん中からの攻撃を絡めてリードした。中盤で逆転を許したものの終盤まで粘り抜き、小野寺の2本連続サービスエースで同点に追いつくと、逆転でこのセットを奪った。

第3セットと同様の戦い方ができれば、その後もセットを奪うチャンスは十分にあると期待したが、第4セットは序盤から相手のブロックが立ちはだかり、思うような攻撃ができない。流れを呼び込もうと粘るがリードを奪うことはできず。21対25でこのセットも失って、日本は今大会初の黒星を喫した。

前に落とす、選手間を狙うなど、相手を揺さぶるサーブが光った小野寺

終わってみれば、イタリアのブロックによる得点が13(ベネズエラ戦は2、カナダ戦は6)と、日本が攻めあぐねたことがわかる。次のポーランド戦は、Vリーグの助っ人クビアク・ミハウとクレク・バルトシュを擁する、世界ランキング2位の強敵だけに、日本としてはまずはサーブで揺さぶりをかけ、攻撃を絞れる展開に持ち込みたい。また、相手ブロッカーを惑わす攻撃体制をいかに作れるかが、勝利をつかむ鍵になるだろう。

【A組戦績】

ポーランド  2勝1敗(イラン2ー3・イタリア3ー0、ベネズエラ3ー1)

日本 2勝1敗(ベネズエラ3ー0・カナダ3ー1、イタリア1ー3)

イラン 2勝1敗(ポーランド3ー2・ベネズエラ3ー0、カナダ0ー3)

イタリア  2勝1敗(カナダ3ー2・ポーランド0ー3、日本3ー1)

カナダ 1勝2敗(イタリア2ー3・日本1ー3、イラン3ー0)

ベネズエラ 0勝3敗(日本0ー3・イラン0ー3、ポーランド1ー3)

【TOKYO2020】ベネズエラに完勝。幸先の良いスタートを切る!

初戦にもかかわらず、しっかりと地力を発揮した日本。

バレーボール男子日本代表は、7月24日(土)に有明アリーナ(東京都江東区)で予選ラウンド初戦を迎え、ベネズエラに3ー0(25-21、25-20、25-15)で勝利して幸先の良いスタートを切った。オリンピックではバルセロナ大会以来29年ぶりの勝利。(写真提供:FIVB)

トスワークだけでなく、サーブに、つなぎに、気迫あふれるプレーを見せた関田。

スターティングメンバーは、関田誠大(セッター)、石川祐希(アウトサイドヒッター)、山内晶大(ミドルブロッカー)、西田有志(オポジット)、高橋藍(アウトサイドヒッター)、小野寺太志(ミドルブロッカー)、山本智大(リベロ)。
第1セットは序盤からサイドアウトの応酬が続いたが、中盤、関田のサービスエースで流れを引き寄せると、山内が3連続ブロックポイントをあげて19対16と一気に突き放した。もう一人のミドル小野寺もブロックを決めてセットポイントを握ると、最後はエース石川がスパイクを決めて第1セットを奪った。
サーブで揺さぶることと、2枚ブロックが機能していた日本は、第2セットに入っても落ち着いたゲーム運びでリードを保つ展開。このセットを奪うと、第3セットも序盤から徐々に相手を突き放し、中盤に入ると硬さが抜けた西田がサーブ、スパイクに躍動。終盤は、1、2セットも途中出場した藤井直伸(セッター)、清水邦広(オポジット)に続き、高梨健太(アウトサイドヒッター)、さらには李博(ミドルブロッカー)がコートに立った。北京大会を経験している清水が落ち着いて得点しマッチポイントを握ると、最後は日本の切り札ともいうべき藤井、李がコンビ攻撃を鮮やかに決めて25対15。日本はストレート勝ちで1勝目をあげた。
予選ラウンドは、6チームずつA、Bの2組に分かれて1回総当り戦で行われ、各組上位4チーム(計8チーム)が準々決勝へ進出する。まずは準々決勝進出を目指す日本にとって、次のカナダは勝利しなければいけない相手。この勝利を弾みに、次戦でも最高のパフォーマンスを期待したい。