【アジア選手権】日本が準決勝進出。途中出場の大宅、大竹が流れを変えた!

男子のアジア選手権は、17日に千葉ポートアリーナ他で順位決定予備戦2日目を行い、日本はオーストラリアに3-0(25-23、25-17、25-23)で勝利して勝点を6とした。前日まで1位につけていた中国もカタールに3-2で勝利し勝点で並んだが、セット率差で日本がE組1位となり、18日に行われる準決勝はF組2位のチャイニーズタイペイと対戦する。

前日、中国に敗れた日本。果たして、気持ちを切り替えて臨むことができるのか。滑り出しが心配されたが、第1セット中盤まではミスが重なり、決して良い状態とは言えなかった。ベンチは2回目のテクニカルタイムアウトをオーストラリアに取られた時点で2枚替えを決断。セッター藤井(前衛)のポジションにオポジット大竹壱青を、オポジット宮浦健人(後衛)のポジションにセッター大宅真樹を入れた。

「中国戦では2枚替えでの起用もなく、スタッフから信頼を得られていない自分に苛立ちを感じた」という大宅は、このチャンスを絶対にものにする、という強い気持ちで臨んだという。その気持ちを結果に結びつけるために、自身に課したのが「丁寧にトスを上げること」と「チームに火をつけること」だ。自分一人の力では難しい後者の課題を実現するために、同期で頼れるエース石川祐希にトスを集めようと考えていた。小野寺太志の好サーブでブレイクのチャンスを作ると、大宅が打ちやすいトスを石川へ。この1点をきっかけに石川もギアを上げて、日本は6連続得点で逆転に成功した。その後もオーストラリアの追撃をしのぎ、第1セットを奪うと、第2セットは序盤からチーム力を発揮した。大宅、リベロ山本智大のディグが冴える。石川も攻撃だけでなく、サーブやセットアップでも地力を発揮。前衛ではミドルブロッカー李博が躍動し、日本は4連続得点と好スタートを切った。さらに中盤、リードを広げる機会が訪れた。小野寺同様、サーブ力に定評のある李が、サービスエースを含む好サーブで6連続得点に貢献。ブレイクのチャンスでは好調の大竹や石川が得点を重ねて日本はセットを連取した。

ミラクルなプレーでチームの勝利に貢献した大竹。中垣内監督は活躍を喜びながらも、「ミラクルでは安定しない。ロジカルなプレーを」と、さらなる成長を期待していた。

第3セットは中盤の4連続失点がひびき終盤まで接戦となったが、好守でチームを支える山本がここでも魅せた。23-23からオーストラリアの大砲、トーマス・エドガーの強烈なサーブをきっちりセッターに返し、小野寺のクイック攻撃でマッチポイント。その小野寺がサーブにまわり、山本の気迫がチームに乗り移ったかのように、李がエドガーの攻撃をシャットアウトして勝利をものにした場面は見応えがあった。一人ひとりが自信を取り戻し、自分の仕事を果たせるチームに戻っていた。

ゲームを作った大宅は「チームが勝利し、(自分にとっても)自信がもてる試合になったと思う」と振り返った。大竹も、自身の力を発揮できたことに充実感を味わっていた。アジアチャンピオンまであと2戦。2人に続き、出場機会が少ない大塚達宣、福山汰一、小川智大がコートに立つ機会は訪れるのか。準決勝のチャイニーズタイペイ戦ではそこにも注目し、チーム一丸となっての勝利に期待したい。

強打に強い山本智大。この試合でも真骨頂を発揮した。

【アジア選手権】次世代の高橋、大塚、宮浦らがスタメン出場。白星スタート

9月12日に、アジア男子選手権大会が千葉ポートアリーナ他で幕を開けた。日本代表は、中垣内祐一監督のもと、東京オリンピックに出場したメンバーを中心に、福山汰一(ジェイテクト/ミドルブロッカー)、大宅真樹(サントリー/セッター)、宮浦健人(ジェイテクト/オポジット)、大竹壱青(パナソニック/オポジット)、小川智大(ウルフドッグス名古屋/リベロ)を加えた14名で臨み、初戦のカタール戦は、背中、腰などに痛みのある石川祐希(ミラノ/アウトサイドヒッター)をベンチに温存しながらも、セットカウント3-0のストレート勝ちで白星発進した。

この日のスターティングメンバーは、五輪代表の高橋藍(日本体育大学2年/アウトサイドヒッター)、大塚達宣(早稲田大学3年/アウトサイドヒッター)、小野寺太志(JT広島/ミドルブロッカー)、李博(東レ/ミドルブロッカー)、藤井直伸(東レ/セッター)、山本智大(堺/リベロ)に、新メンバー宮浦健人を加えた布陣。中垣内監督は、11日の会見で五輪メンバーと入れ替わった2名のオポジットを注目ポイントにあげ、「アジアを相手にどこまでできるのか、しっかり見ていく」と話していたが、初戦に起用したのはシニア代表デビューとなる宮浦だった。

宮浦は、2017シーズンからアンダーエイジカテゴリー日本代表の中心選手として活躍。大学3年生で臨んだ2019ユニバーシアードでは高さのあるヨーロッパ勢を相手に戦い、自信をつけて、シニア入りに意欲を示してきた。そして今年、初のシニア日本代表に選ばれ、本大会のメンバーに選出された。シャープなスイングが持ち味。攻撃の幅が広く、サイドアウトを取ることには定評がある。この日のカタール戦でも緊張は見られたものの、積み上げてきた多くの経験を力に変えて、まずまずのスタートを切った。「コンディションは万全」という宮浦。これまでも実戦を踏んで力をつけてきた選手だけに、試合を重ねるごとに持ち味を発揮し、成長する姿を見せてほしい。

宮浦健人(22歳)
鎮西高校→早稲田大学→2021年4月より、ジェイテクトSTINGS
持ち味:シャープなスイング
「スパイクだけでなく、サーブも注目してほしい」
今大会の目標
「自分の力を出し切ること」

【アンダーエイジカテゴリー代表歴】
2017年/U-19アジア選手権・U-19世界選手権
2018年/U-20アジア選手権
2019年/ユニバーシアード競技大会(ナポリ)・U-23アジア選手権
※いずれもオポジットで出場。
宮浦(19)、大塚(5)、福山(9)、3人の共通点は指先の「W」。次戦以降も早稲田旋風に期待したい。