王者フランスとの戦いを自信と糧に、来季はさらなる飛躍を!

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 世界選手権(ポーランドとスロベニアの共同開催)で、決勝トーナメント Round of 16に出場した日本は、東京2020、2022ネーションズリーグの覇者であるフランスと対戦。2-3(17-25、25-21、24-26、25-22、16-18)で惜敗し、12位で大会を終了したが、来季を期待させる締めくくりとなった。

 第1セットこそフランスが得意とするミドルブロッカーを軸とした攻撃を許してしまい、一方的なゲームとなったが、2セット目以降はしぶとくサーブで揺さぶりをかけ、フランスに思い通りのプレーをさせない状況を作り出した。

 立役者はこの試合31得点(内、アタックは28得点)と大活躍の西田有志だ。試合後のインタビューでフランスのミドル、シヌニエズ(背番号1)も脱帽していたが、とにかくブロックにかからない。すり抜ける。そのもどかしさも、フランスの歯車を狂わせる要因となり、ファイナルセットもデュースの激戦となった。

 16-16。まさにどちらが勝ってもおかしくない状況下で、一流の証を見せたのはフランスの要、ヌガペト(OH)だった。マッチポイントにつながるサーブレシーブは、「クイック、いけるぞ」と言わんばかりの好返球。これをルゴフ(MB)が決めて16-17。日本としてはなんとしてもサイドアウトを取らなければいけない場面で、西田のスパイクがブロックに当たり、そのボールがつながってヌガペトのもとへ。するとスタンディングジャンプにもかかわらず、ブロックを交わして超インナーの誰もいない場所へスパイクを打ち込まれてゲームセットとなった。

 強豪といわれるチームには、こうした勝負を決する場面で勝ち切る力がある。ネーションズリーグのブラジル戦でも日本は競り合ったが、終盤の肝心な場面で点を取れずにセットを落とした。競り合いを勝ち切るには「トーナメントの緊迫する試合で経験を積むことが必要だ」と石川祐希は話していたが、まさにこのフランス戦はそれに匹敵する試合ではなかったか。

 目標としていたベスト8には届かなかったが、エースでありチームリーダーの石川がベストコンディションではない中でも、手応えを感じるゲーム内容で締めくくれたことは収穫だった。この戦いで得たものを自信に、見えた課題を糧にして、来季ではさらなる飛躍を期待したい。

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フランス戦のスタメンはOH:石川祐希・髙橋藍、MB:山内晶大・小野寺太志、OP:西田有志、S:関田誠大、L:山本智大。

個人成績は以下の通り。
・西田有志 OP 31得点
・石川祐希 OH 22得点
・髙橋藍 OH 11得点
・山内晶大 MB 10得点 
・小野寺太志 MB 2得点
・関田誠大 S 1得点
※OH:アウトサイドヒッター、MB:ミドルブロッカー、OP:オポジット、S:セッター、L:リベロ
※個人成績を訂正しました。(2022年9月13日)

文責:金子裕美

世界バレーが開幕。存在感が増している髙橋藍の積極的なプレーとリーダーシップに期待

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 世界のトップ24チームが参加するバレーボールの男子世界選手権(ポーランドとスロベニアの共同開催)が8月26日に開幕した。リュブリャナ(スロベニア)で初戦を迎えた日本は、カタールを3-0(25-20、25-18、25-15)で下して白星スタートを切った。

 1次ラウンドは4チームによる1回戦総当たりで、日本は28日(日本時間21時開始)にブラジル、30日(日本時間21時開始)にキューバと対戦する。

 カタール戦のスタメンはOH:髙橋藍・大塚達宣、MB:山内晶大・小野寺太志、OP:西田有志、S:関田誠大、L:山本智大。

 個人成績は以下の通り。
・西田有志 OP 17得点
・髙橋藍 OH 11得点
・山内晶大 MB 8得点 
・小野寺太志 MB 8得点
・大塚達宣 OP 6得点
・石川祐希 OH 4得点
・宮浦健人 OP 1得点

※OH:アウトサイドヒッター、MB:ミドルブロッカー、OP:オポジット、S:セッター、L:リベロ

 左足首の負傷により治療、リハビリに専念していた石川祐希は、ベンチスタートで戦列復帰を果たしたものの、実戦から離れていたため感触を確かめながらのプレーとなった。復調が待たれるなか、ポイントゲッターの西田有志や司令塔の関田誠大が実力を発揮し、日本はストレート勝ちを収めたが、ひときわ印象に残ったのは髙橋藍の存在感だ。大舞台の初戦に動じるどころか、チームを支える頼もしさを感じた。

 2020年にフィリップ・ブラン監督と出会い、昨シーズンまでは「スパイクにしても、サーブレシーブにしても注意されることばかり。サーブレシーブで球をはじくたびに怒られていた」と言うが、へこむどころか、厳しさは自分への期待の裏返しと受け取って前向きに努力してきた。今シーズンは監督の期待が確信に変わり、「プレーで挑戦することと、リーダーシップが求められている」と胸を張る。

 強豪ブラジルとの戦いで髙橋がどんなパフォーマンスを見せるのか。プレーだけでなく、コート上のたたずまいなど戦う姿勢にも注目したい。