
FIVBバレーボールネーションズリーグ2022 予選ラウンド第1週 ブラジル大会(以下VNL)が、6月7日(火)から12日(日)までブラジリアで開催される。日本代表チームは、パドバ(イタリア)での事前合宿を経て、VNLが行われるブラジリアに移動。ネーションズリーグ開幕までの合宿期間ではブラジル代表チームとの練習試合も予定されており、チームの連携を深めて大会に臨む。
チームを率いるフィリップ・ブラン監督は、監督就任当初から「2022年度は東京五輪代表メンバーが中心になる」と明言していたが、今回のメンバーにはキャプテンの石川祐希(ミラノ)をはじめ8名が選出された。そのうち、石川、西田有志(ビーボ・バレンティア)、関田誠大(クプルム・ルビン)、髙橋藍(日本体育大学/パドバ)が2021-22シーズンを海外のリーグで過ごしている。VNLはその成果を存分に発揮する大会となるだろう。また、ブラン監督は、海外組に加えてリベロ山本智大(堺)にもリーダー的な役割を期待しており、VNLはこの5選手を中心に戦いが繰り広げられていくことになりそうだ。
もちろん小野寺太志(JT)、山内晶大(パナソニック)、大塚達宣(早稲田大学)のさらなる進化にも期待がかかる。スタメン定着に向けて自身の持ち味を自覚し、チームの勝利に貢献したいところだ。
東京五輪代表以外では、2021-22Vリーグでプロック賞、ベスト6、フェアプレー賞を受賞。攻撃にも自信をつけた髙橋健太郎(東レ)と、同リーグで2年連続のサーブレシーブ賞を受賞。ベストリベロにも輝くなど着実に力をつけている小川智大(ウルフドッグス名古屋)が、昨年に続きVNL代表入りを果たした。
髙橋は代表歴8年目にして、新たな気持ちでシーズンを迎えている。早くから活躍が期待されていたが、その能力を十二分に発揮することができず、東京五輪代表にも選出されなかった。バレーボールから離れることを考えた時期もあったというが、チームの手厚いバックアップのもと、2021-22Vリーグでは充実したシーズンを送り、今に至っている。その自信を力に変えることができれば、小野寺、山内を脅かす存在になるだろう。
パリ五輪出場を目標に掲げる小川は覚悟をもって臨んでおり、「前回とは違う自分を見せたい」と話していた。振り返れば、昨年は反応の良いプレーで世界のバレーボールファンを魅了したが、出番は少なかった。今年はチームが目指すバレーの実現にこだわり、その1ピースになる、と心に決めている。もう一人のリベロ山本の能力を誰よりもわかっている小川の、真摯な挑戦を見届けたい。
宮浦健人(ジェイテクト)は、昨年、東京五輪後に行われたアジア選手権に続く国際大会出場となる。世代別の代表経験が豊富な選手だけに、今頃合宿地でわくわくしていることだろう。同じポジションの西田とは高校時代から競い合ってきた仲だが、高校を卒業後、宮浦は大学へ。1学年下の西田はVリーグへ。道が分かれたため、同じチームでの国際大会出場は2017年のアジアユース以来となる。刺激を受け合い、成長する姿を見せてくれるに違いない。
今回、シニアの国際大会に初めて名を連ねた富田将馬(東レ)、永露元稀(ウルフドッグス名古屋)、村山豪(ジェイテクト)は、いずれもキラリと光る個性の持ち主だ。
富田は東山高校の後輩、高橋藍に勝るとも劣らないオールラウンダーで、2021-22Vリーグでは攻守でその能力を遺憾なく発揮した(レシーブ賞を受賞)。富田の強みは、状況に応じてさまざまな工夫ができるところにある。世界を相手にしても多彩な技が通用するのか、注目したい。
永露は待望の大型セッターであり、ブロックやサーブでもチームに貢献できる強みがある。2021年度天皇杯や2021-22Vリーグでそれを実証し、セッターとしての能力を上げていくフェーズに入った。「トスのスピードや精度の向上に努めている」と言う192cmの永露が、チームに入るとどのような化学変化が起きるのか、興味深い。
村山は、アウトサイドもこなせる器用さと、高校、大学を通してトップチームで磨きをかけた洞察力が武器の選手だ。コートに立つ前からしっかり準備ができていて、得点チャンスを逃さない。2021-22Vリーグでは新人賞を受賞した。日本チームに新風を吹き込む可能性を秘めていている逸材だけに、代表デビューが待ち遠しい。
世界のトップ16チームが出場するVNL2022の予選ラウンドは、各チームが12試合を戦い、その結果に基づき順位を決定する。日本は6月 8日(水)が初戦となり、オランダと対戦する。2年後のパリ五輪に向けて走り出したブランジャパンの、まずは初戦に注目だ。
【VNL予選ラウンド第1週 ブラジル大会日程】 6月8日(水)現地 18:00 日本 翌6:00 vsオランダ 6月9日(木)現地 15:00 日本 翌3:00 vs中国 6月10日(金)現地 18:00 日本 翌6:00 vsアメリカ 6月12日(日)現地 13:00 日本 翌1:00 vsイラン ※6月7日(火)、11日(土)は日本の試合なし ※BS-TBSにて日本戦全試合放送
【VNL 第1週 男子日本代表メンバー】 1.西田有志 にしだ ゆうじ 所属/ビーボ・バレンティア(イタリア) ポジション/オポジット 出身地/三重県 出身校/海星高校(三重) 年齢/22歳 身長/187cm 最高到達点(スパイク)346cm 最高到達点(ブロック)330cm ☆東京五輪代表 2 小野寺 太志 おのでら たいし 所属/JTサンダーズ広島 ポジション/ミドルブロッカー 出身地/宮城県 出身校/東北高校(宮城)→東海大学 年齢/26歳 身長/200cm 最高到達点(スパイク)343cm 最高到達点(ブロック)330cm ☆東京五輪代表 5.大塚 達宣 おおつか たつのり 所属/早稲田大学4年 ポジション/アウトサイドヒッター 出身地/大阪府 出身校/洛南高校(京都) 年齢/21歳 身長/194cm 最高到達点(スパイク)338cm 最高到達点(ブロック)325cm ☆東京五輪代表 6 山内 晶大 やまうち あきひろ 所属/パナソニックパンサーズ ポジション/ミドルブロッカー 出身地/愛知県 出身校/名古屋市立工芸高校(愛知)→愛知学院大学 年齢/28歳 身長/204cm 最高到達点(スパイク)354cm 最高到達点(ブロック)335cm ☆東京五輪代表 8 関田 誠大 せきた まさひろ 所属/クプルム・ルビン(ポーランド) ポジション/セッター 出身地/東京都 出身校/東洋高校(東京)→中央大学 年齢/28歳 身長/175cm 最高到達点(スパイク)324cm 最高到達点(ブロック)305cm ☆東京五輪代表 10 髙橋 健太郎 たかはし けんたろう 所属/東レアローズ ポジション/ミドルブロッカー 出身地/山形県 出身校/米沢中央高校(山形)→筑波大学 年齢/27歳 身長/202cm 最高到達点(スパイク)361cm 最高到達点(ブロック)350cm 11 富田 将馬 とみた しょうま 所属/東レアローズ ポジション/アウトサイドヒッター 出身地/愛知県 出身校/東山高校(京都)→中央大学 年齢/24歳 身長/190cm 最高到達点(スパイク)345cm 最高到達点(ブロック)320cm 12 髙橋 藍 たかはし らん 所属/日本体育大学3年 ポジション/アウトサイドヒッター 出身地/京都府 出身校/東山高校(京都) 年齢/20歳 身長/188cm 最高到達点(スパイク)343cm 最高到達点(ブロック)315cm ☆東京五輪代表 13 小川 智大 おがわ ともひろ 所属/ウルフドッグス名古屋 ポジション/リベロ 出身地/神奈川県 出身校/川崎市立橘高校(神奈川)→明治大学 年齢/25歳 身長/176cm 最高到達点(スパイク)312cm 最高到達点(ブロック)290cm 14 石川 祐希 いしかわ ゆうき 所属/パワーバレー・ミラノ(イタリア) ポジション/アウトサイドヒッター 出身地/愛知県 出身校/星城高校(愛知)→中央大学 年齢/26歳 身長/191cm 最高到達点(スパイク)351cm 最高到達点(ブロック)327cm ☆東京五輪代表 16.宮浦 健人 みやうら けんと 所属/ジェイテクトSTINGS ポジション/オポジット 出身地/熊本県 出身校/鎮西高校(熊本)→早稲田大学 年齢/23歳 身長/190cm 最高到達点(スパイク)347cm 最高到達点(ブロック)320cm 20.山本 智大 やまもと ともひろ 所属/堺ブレイザーズ ポジション/リベロ 出身地/北海道 出身校/とわの森三愛高校(北海道)→日本体育大学 年齢/27歳 身長/171cm 最高到達点(スパイク)301cm 最高到達点(ブロック)299cm ☆東京五輪代表 21.永露 元稀 えいろ もとき 所属/ウルフドッグス名古屋 ポジション/セッター 出身地/福岡県 出身校/東福岡高校(福岡)→東海大学 年齢/25歳 身長/192cm 最高到達点(スパイク)335cm 最高到達点(ブロック)325cm 26 村山 豪 むらやま ごう 所属/ジェイテクトSTINGS ポジション/ミドルブロッカー 出身地/東京都 出身校/駿台学園高校(東京)→早稲田大学 年齢/23歳 身長/192cm 最高到達点(スパイク)341cm 最高到達点(ブロック)317cm