「地元への恩返し」を胸に、高松卓矢が大分入り。

Vリーグ選手になって10年目を迎える節目の年に、高松卓矢(32歳)は大きな決断をした。2020-21シーズンはウルフドッグス名古屋(前回7位)を離れ、地元・大分県を本拠地とする、大分三好ヴァイセアドラー(前回9位)の一員として戦うことを決めたのだ。主軸選手の移籍を承諾したウルフドッグス名古屋の懐の深さにより、10月17日(土)に開幕を予定している2020-21 V.LEAGUE DIVISION1(V1)への注目度が高まっている。「コートに立てるうちに、育ててくれた地元への恩返しがしたかった」という高松に、移籍の経緯や今の気持ちを聞いた。

体が動くうちに実現したかった

--移籍はいつから考えていたのですか。

きっかけは2年前、2018-19シーズンのVリーグです。(出身地である)大分県別府市で試合があって、その時に(かつてお世話になった)いろいろな人から『豊田合成(現:ウルフドックス名古屋)で試合に出られなくなったら大分三好に来てプレーしてよ』というようなことを言われて気持ちが動いたんです。僕のバレーボール人生は、この先、そう長くないと思っていたので、選手でいられるうちに、自分を育ててくれた大分県にバレーボールで還元できることはないかなと考えるようになりました。

大分三好さんでプレーさせてもらうにしても、豊田合成で試合に出られなくなったから行くというのは失礼な話だよな。体が動くうちに貢献できればいいなと思っていましたが、チーム事情もあります。その気持ちを言葉にできたのは、チームにアウトサイドヒッターが増えたことが大きかったです。僕、白岩直也、山田脩造に加え、昨年、高梨健太(2020シーズン日本代表)と勝岡将斗が、今年、山崎彰都が入団して6人いるんですよ。人数だけでなく、今の若手選手は僕がその年齢だった時よりも遥かにレベルが高く、僕が(これまでに培ってきた)経験や知識、技術をチームで伝えられることはそれほどないので、移籍するなら今年かなと思いました。

--高松選手から提案したのですね。

そうです。例年、シーズン終了後に横井(俊広)社長との面談があるのですが、そこで気持ちを伝えました。

--驚かれたでしょうね。

そうですね。すぐに返事をもらうことはできませんでした。「チームで活躍しているのに、なぜ他のチームでプレーするのか」というようなことをやんわり言われました。全員の面談が終わってから、もう一度、話をする機会を設けてもらい、そこで具体的な話をして了承してもらいました。

主軸選手の移籍でリーグの活性化に期待

--期限付き移籍を選んだ理由は?

僕は豊田合成株式会社の社員なので、引退後のことを考えると完全移籍という選択肢はありませんでした。考えが甘いかもしれないですけど、豊田合成にはなるべく辞めずに大分三好さんでプレーする方法はないか、という打診をさせてもらいました。横井社長が『最後はうちのチームのユニホームを着て引退してほしい』と言ってくださり、豊田合成も出向という寛大な対応をしてくださり、最終的に豊田合成に戻って来られる形を作ってもらえたので、本当にありがたいです。

--期限付き移籍のシステムは、バレーボール界にとってどのようなメリットがあると思いますか。

V1はポテンシャルの高い選手が集まっているので、常に頭を使って努力しても試合に出られるかどうかはわかりません。自分のチームで出場できなかった選手が、他チームに移籍することにより試合に出られるのであれば、その選手のためにもなるし、リーグ全体の底上げにもつながると思います。

--高松選手のように社員の場合、活躍の場があっても、現在の生活水準を落としたくない、会社を離れたくないという気持ちがブレーキになって動けない選手もいると思います。そういう選手にとって、今回の高松選手の移籍は勇気をもらえる事例になったと思いますし、Vリーグの活性化につながるのではないかと思うのですが…。

そうなればおもしろいですね。僕の場合、自分の気持ちで動いているところが大きかったので、自分の行動が他の選手に影響を与えるなどということは考えてもいませんでしたが、確かに、他の選手が自分も動いてみようかなと思った時に、移籍の話がしやすくなるということはあると思います。

--とりあえず1シーズンですか。

規約上、単年(2021年5月31日まで)なので、2020-21シーズンを全力で頑張りたいと思っています。

--活躍が楽しみです。

いや、年齢が年齢ですし、環境も変わるので、大分三好さんでコートに立てるかどうかもわかりません。もちろん僕が地元・大分に帰って、試合に出て、活躍できれば一番いいですが、咋シーズンも緻密にいろいろと積み上げていって、なんとかあのパフォーマンスができたので、今シーズンも昨シーズンと同レベルのパフォーマンスができるかというと、今はまだ自信はないです。

--新型コロナウイルスの影響もありますか。

活動自粛期間が明けて、みんなは徐々に練習を再開しましたが、僕は移籍が決まるまでの間、チームの練習に合流しませんでした。個人でやれることをやるという感じだったので、すべてがこれからがです。

--活動自粛を経験して、何か心境の変化はありましたか。

僕たちバレーボーラーは、何事もない状況だからプレーできるし、評価されるものなんだなということを思い知らされました。バレーボールには全力で取り組んでいますが、普段からバレーボーラーとしての価値をしっかり考えているかというと、そうではなかったので、これからはしっかりと考えて行動していかなければいけないと思っています。

今回の移籍も、自分を育ててくれた大分県にバレーボールで恩返しをしたいという思いから始まったので、まずは(一緒にプレーすることにより)僕の持っているものを大分三好の選手に伝えたいです。それができれば、その後、僕がWD名古屋に戻ったとしても何かしらが残ると思うんです。先のことは考えずに伝えられることは伝える、試合でしっかりプレーできるように頑張る。今はそれしか言えませんが、(新たな挑戦を)応援してもらえたら嬉しいです。

高松卓矢(たかまつたくや)

1988年1月8日生まれ/大分県別府市出身/アウトサイドヒッター/186cm・82kg/大分県立別府鶴見丘高校→日本体育大学→2010年に豊田合成トレフェルサ(現 ウルフドッグス名古屋)入団/2013年・2017年・2018年全日本代表/2015/16V・プレミアリーグ ベスト6賞(チーム初優勝に大きく貢献した)、2017/18V・プレミアリーグ 敢闘賞

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