秋季関東大学男子1部リーグ戦/前半戦が終了。日体大と日本大の躍進で混戦の展開に

9月7日(土)に幕を開けた秋季関東大学男子1部リーグ戦は、前半戦6試合が終了。春季リーグ戦の上位6チームと下位6チームが対戦する前半戦では、上位チームが白星を重ねてもおかしくないが、下位チームの健闘が目立ち、順位争いは混沌としている。しかし、そういう状況の中でも取りこぼしをしない早稲田大が首位を譲らず。1敗で東海大が追う展開となっている。

■9月22日(日)現在の成績

1位 早稲田大学(6勝)    春季1位
2位 東海大学(5勝1敗)     春季2位
3位 明治大学(4勝2敗)     春季3位
4位 筑波大学(4勝2敗)     春季5位
5位 日本大学(4勝2敗)     春季10位
6位 日本体育大学(3勝3敗)   春季7位
7位 中央大学 (3勝3敗)    春季4位
8位 順天堂大学 (2勝4敗)   春季9位
9位 専修大学(2勝4敗)     春季6位
10位 青山学院大学(2勝4敗) 春季2部1位
11位 東京学芸大学(1勝5敗) 春季11位
12位 駒澤大学(6敗)      春季8位
※勝敗が同じ場合はセット率、得点率による

戦力充実の早稲田大が1歩リード。東海大は苦しみながらも1敗を死守

早稲田大は春季にレシーブ賞を受賞したアウトサイドの村本涼平(4年/洛南高)がけがのため戦列離脱。代わりにスタメン入りした吉田悠眞(2年/洛南高)は176cmと小柄だが、守備だけでなく、攻撃でも思い切りのいいプレーで役割をしっかりと果たしている。前年、リベロの堀江友裕(4年/開智高)がけがで抜けた際も、村本がそつなくその穴を埋めて四冠を成し遂げた。試合に出る機会は少なくても腐ることなく、選手全員がしっかりと練習で力をつけているから、それができるのだろう。この夏、国際大会で活躍した宮浦健人(3年/鎮西高/オポジット)、村山豪(3年/駿台学園高/ミドル)に加え、大塚宣達(洛南高/アウトサイド)も1年生とは思えない安定的なプレーでチームの勝利に貢献していて、今のところ隙がない。

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常勝早稲田大の大きな武器のひとつが中村ー村山のクイック

 

東海大は、この夏、シニア日本代表の親善試合に練習生(アウトサイド)として出場するなど、注目されている新井雄大(3年/上越総合技術高)が得点源。チームではオポジットでプレーし、破格な高さとパワーを発揮しているが、対戦チームの新井対策は年々厳しくなっている。後半戦で勝ち星を伸ばすには、佐藤駿一郎(1年/東北高)、安部翔大(2年/東福岡高)らミドルをうまく活用して、サイドから攻撃する際の条件を少しでもよくしたいところだ。真子康佑(3年/星城高)と山本龍(1年/洛南高)、2人のセッターがスタメン争いをしており、トス回しに注目したい。

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ワールドカップメンバーにもエントリーされた新井

 

日本大と日体大が台風の目に。1部初昇格の青山学院大もすでに2勝

秋季リーグ戦をおもしろくしているのは、前半戦で春季上位のチームと対戦する中で4勝をあげた日本大だ。セッターに谷越陽介(3年/とわの森三愛高)が定着。その対角に守備力が高いアウトサイド水島健(2年/北陸高)を起用することで、チームの安定感が増した。ブロックタッチから粘り強くつなぐバレーで春季の4強と堂々と渡り合い、早稲田大以外の3チームに勝利した。通常、リベロと2人のアウトサイドで行うサーブレシーブを、水島と、リベロの新山駿(4年/金光学園高)、アウトサイドの下田正明(2年/富山第一高)で担うことにより、サーブレシーブが向上。もう1人のアウトサイド高橋塁(2年/東山高)が攻撃に専念することで、サイドアウトが取りやすくなった。高さがほしい場面で198cmのアウトサイド関根ヒカル(2年/埼玉栄高)を投入できる余裕も生まれた。残り5戦も、安心することなくつなぐバレーを展開できれば、十分に上位を狙える位置につけている。

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日本大の守りの要、リベロの新山

 

春季7位と低迷した日体大も、夏場にしっかりチームを立て直して秋季リーグ戦に臨んできた。196cmのセッター道井淳平(4年/石川県工高)と、大型ミドル、川口柊人(1年/駿台学園高/200cm)の安定感が増している。トス回しがうまい河東祐大(4年/鹿児島商高)に頼る場面もまだまだあるが、道井がコートに立つ時間は春季よりも着実に増えている。チームの要・仲本賢優(4年/西原高/アウトサイド)、テクニックと気持ちの強さが持ち味の西村信(3年/高川学園高/アウトサイド)、久しぶりにスタメンに返り咲いた西知恕(4年/別府鶴見丘高/ミドル)が実力を発揮した時の日体大は強く、21日(土)の東海大、22日(日)の早稲田大との一戦でも勝利こそ奪えなかったが大いに苦しめた。今年度の集大成となる全日本インカレに向けて良い流れを作りつつある。

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サウスポーの超大型セッター、道井

 

この秋季が1部リーグ初参戦となる青山学院大は、高校時代にインターハイ、春高などの大舞台を経験している選手が多く、怖いもの知らずでぶつかっているという印象だ。東日本インカレで早稲田大(松井泰二監督、宮浦、村山はユニバーシアード事前合宿のため不在)に勝利し、準優勝した勢いそのままに秋季リーグ戦に突入。フルメンバーの早稲田大、高さのある東海大には歯が立たなかったが、春季3位の明治大、同5位の筑波大に勝利した。後半戦でさらに勝ち星を重ねることができれば、来年度も1部でプレーできそうだ。

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駿台学園高三冠を経験しているセッターの望月

 

上位チーム同士の対戦が始まる後半戦。2強を揺るがす最有力チームとは

9月28日(土)からの後半戦では、2強に土をつけるチームが現れるのかが大きな見どころとなる。現段階の有力候補として注目したいのが、ここまで高さのある1年生を積極的に起用し、攻撃的なチームづくりを模索して来た筑波大だ。破格の跳躍力を武器にアウトサイド、オポジットをこなせる小澤宙輝(甲府工高)と、オポジット、ミドルをこなせるサウスポーの吉田綜眞(福井工大福井高)、2人の4年生が2つのポジションを行き来しながら、西川馨太郎(1年/清風高)、垂水優芽(1年/洛南高)の出場機会を増やしてきた。その成果が徐々に表れつつある。攻守の要である坂下純也(3年/駿台学園高/アウトサイド)のビック(速いパイプ)も効果的だが、西川がサーブの時は、坂下がバックレフトを守り、高さのある西川がパイプに入る。チームはまだまだ走り出したばかりだが、セッター阿部大樹(2年/埼玉栄高)がうまく攻撃陣を操ることができれば、攻撃バリエーションが豊富な、おもしろいチームになる可能性を秘めている。

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スピードとテクニックが持ち味の坂下。早稲田の村山、青山学院の望月とは高校の同期

 

明治大は、ミドルの三輪大将(2年/高川学園高)や安井恒介(1年/市立尼崎高)がチーム最多得点をあげて勝利することもあるコンビ攻撃主体のチーム。鎌田佳朗(4年/東亜学園高)の献身的な守備がチームの支えとなり上位をキープしている。春季以上の成績を目指すには2強を倒さなければならず、早稲田大の宮浦、東海大の新井と同期のオポジット、池田颯太(3年/創造学園高)の奮起に期待がかかる。

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3年生オポジットの池田

 

中央大は後半戦の巻き返しに期待したい。肩を痛めていたエース都築仁(3年/星城高/アウトサイド)が復帰。秋季リーグの初戦は、東日本インカレでセッターを任された伊藤洸貴(2年/駿台学園高)、都築、鍬田憲伸(2年/鎮西高/アウトサイド)らがスタメンに起用されてスタートしたが、メンバーを入れ替えながら戦い、ようやく4年生の牧山祐介(洛南高/セッター)、富田将馬(東山高/アウトサイド)を中心としたチームに落ち着いてきた。

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最後のリーグ戦となる富田

 

男子はワールドカップ期間中、対戦がなく、3週間、調整できる(9月29日の後、10月19日に再開)。中央大と2強との対戦はワールドカップ終了後なので、熱い戦いを期待したい。

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