ユニバシアード男子バレーチームは7日、予選ラウンド第2戦を行い、スイスに3−1(23-25、25-21、25-16、25-21)で勝利し、2連勝となった。次戦は8日の20時(日本時間9日午前3時)より、地元のイタリアと対戦する。
エアコンがほとんど効かず、いや、もしかしたらエアコンの設備がなく、藤田アナリストは「パソコンが熱くなりすぎて壊れるんじゃないかと心配だった」と言うほど気温が高い体育館での第2戦。試合開始は20時だったとはいえ、こちらの20時は東京の夕方くらいの明るさ(日没は20時半過ぎ)で、まだ気温もさほど下がっていなかった。体育館の最上階で撮影していた筆者は、立っていただけでTシャツの色が変わった。
その影響もあってかどちらもミスが多い、今ひとつ締まりのない試合展開となったが、その中でもしっかりと勝ちきった結果は大きい。
スタメンは開幕戦と同じ布陣。前日と同じようにセンターラインからの攻撃を軸に組み立てを図るセッターの小林。第1セット序盤、互いのサーブミスなどでどちらも主導権を握れずにいる中で村山の力強いBクイックが相手コートに突き刺さり、会場がどよめいた。普段あまり表情に変化がない村山も吠えた。これを機に小林のサービスエースや、トラジションからの村山のクイックなどで一気に4連続ポイントで流れを引き寄せた。
しかし、この試合、ポイントゲッターのひとりとなるはずの高梨の調子が悪い。序盤でミスが続き、焦りからか明らかに力んでいるのがファインダー越しにも見え、空回りしている感が強かった。藤田アナリストは試合後「今日の高梨のスパイク効果率は明らかにマイナス」と言うほどの状態だったが、それでも松井監督は高梨をコートに立たせ続けた。第4セットに入り少しずつ効果率も上がり、マッチポイントでは、レフトから気持ちのいいスパイクを打ち込み、上向きの状態で試合を終えることができたのは、次戦に向けていい締めくくりになったのではないだろうか。
高梨がそんな状態の中、チームを救ったのがオポジットの宮浦だった。40本打って23得点、57.5%のスパイク決定率を上げた。序盤はこれまでのセンターライン多用が功を奏してフリーで打たせてもらう場面もあったが、相手ブロッカーが宮浦を中心にマークするようになってからも、しっかりと決めきった。開幕戦で懸念した『小林とのコンビが未完成』な点は、すっかり払拭されていた。
8日間で7試合を戦う今大会。このような大会では日替わりでヒーローが誕生することは珍しくない。ひとりが不調でも、それを全員でカバーすればいいし、それができるのがバレーボール。アップゾーンでは郡、梅本を中心に観客を巻き込んで大きな声援を送っていた。大会2試合目、さらにチームがひとつになった試合ではなかっただろうか。

松井監督インタビュー
——ちょっと苦しんだ試合となりましたが、試合の感想をお願いします。
「どの試合も楽に勝てるものはないと思っていました。自分たちがやってきた攻撃も最初はうまくいかなかったんですけど、自分たちの形を思い出すことによってそれが通用するということもわかりましたし、選手たちが相手のデータをものすごく丁寧に記憶していて、それが最後に相手を絞り切れたというところは選手を褒めてあげたいところです」
——試合中にも何らかのデータを与えているのですか。
「もちろん試合中にもアップデートはしていますが、基本は(相手が)試合前の分析と変わったことをしてきていなかったので、事前の策を継続し、徹底していました」
——第1セット終盤、村山選手のクイックと樋口選手のパイプがブロックされましたが。
「それは結果であって、しかし序盤からセンターラインから攻めて行っていたので、相手ブロッカーは村山を外せなくなっていました。それはこちらの思惑通りです」
——今日の高梨選手の攻撃には物足りなさを感じませんでしたか。
「そうですね。ただ、高梨も樋口もまだアウトサイドというポジションに慣れていないので、1戦1戦が経験です。特にラリー中にはちょっと慌ててしまっていて、自分の中でいろんな選択肢があるのに間違った選択をしている場面も多くありました。その辺は経験を積むしかないと思っています。でも、本人がトライしていることなので、大いに認めてあげたいと思っています」
——ベンチに下げなかったのも経験を積ませるためですか。
「試合は明日もあさってもあります。ミスは多かったですが彼の動き自体は悪くなかったので、替える必要はないと考えました」
——イタリア戦へのイメージはできていますか。
「イタリアはプロ選手で構成されたチーム。それだけに個の能力の他に戦術面でも優れていますが、自分たちの力がどこまで通用するのか、このあと戦術を立てて、戦っていきたいと思います」

宮浦選手インタビュー
——2試合終わりましたが。
「予選はとにかく勝たなければいけない試合なので、2連勝できたことにはホッとしていますが、気を抜かず次の試合に向けて準備をしていきたいと思います」
——自分自身の調子はいかがですか。
「コンディションもいいし、調子はいいですね」
——国内合宿からこちらでの韓国、ウクライナとの練習試合、さらに開幕のメキシコ戦と、小林選手ともコンビがいまひとつ合ってないと見ていたんですが、今日は違いましたね。
「光輝さんとも久しぶりですので、試合の中で光輝さんが僕をカバーし、僕が光輝さんをカバーしながらどんどん合わせていければいいと思います」
——チームが分かれて半年ちょっとですけど、だいぶ違うのですか。
「この半年間、お互いに止まっていたわけではなく、違うチームでバレーをやっているわけですし、2人共が半年前より成長していて合わないのかと思います。特に練習の場面で光輝さんが僕の要望を細かく聞いてくれて、それに合わせるようにしてきましたから、心配はしていません」

高梨選手インタビュー
——ここまでの感想をお願いします。
「初めてアウトサイドで試合に出て、スタートからずっと使ってもらっていますが、今日のように競ったときに自分のもろさが出てしまって。でもそんな自分をみんながカバーしてくれたので、次はそれをみんなに返したいと思います」
——そのもろさって具体的に言うとどんな点ですか。
「昨日のメキシコ戦で感覚的によかったので、今日も同じように、いつも通りにやろうと思ったんですけど、ちょっと焦りだとかの不安要素が出たときに、あれ? あれ?っておかしくなって、今日はそのまま終わってしまったので、調子が崩れたときによかったときのイメージに戻す方法を探らなければと思っています」
——序盤のミスを引きずってしまいましたか。
「そうですね。“こんなはずじゃない”という思いがずっと頭に残ってしまったので、それが今日の出来のひとつの要因かと思います。“決めなきゃ”とか“ミスを取り返さなきゃ”という思いが出れば出るほど悪循環に陥って、いつもは出さないようなミスもしてしまいました。もっと落ち着いてプレーすればよかったと今は思っています。」
——「決めてやる!」って力が入っているのが見えました。
「その思いが強かったのは事実です。ただ、力んでいいことは何一つないんですよね。それはわかっているのにそこから抜け出せないのが自分の弱さだと実感する試合でした」
——でも、最後の1本は素晴らしいスパイクでした。
「こんなに調子が悪くてもみんなに助けられて、松井さんや理生さん(松永コーチ)もずっと声をかけてくださって、マッチポイントの重要な場面でトスを上げてくれて、最後くらいはという思いをぶつけました」
——気持ちのいい終わり方はできましたね。
「最後の1本だけは。でも100点満点中5点くらいの出来だったので…。悪いところは引きずらずに、気持ちを切り替えて、明日以降も頑張ります」

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