2019年度春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦が4月6日(土)に幕を開けた。新チームで臨む初めてのリーグ戦。各チームの新戦力に注目すると、インターハイ優勝メンバーの安井恒介(明治大)ら1年生の頑張りが光っている。前編に続き、1勝をあげた5チームにフォーカスする。《後編》
【日本体育大学】196cmのセッター道井、2mの川口、2m超の鬼木がスタメン入り
オポジットの高梨健太(豊田合成)が卒業した日本体育大は、脱オポジットを図った。アウトサイドに仲本賢優(4年・主将/西原高/186cm)、高橋良(3年/清風高/188cm)、西村信(3年/高川学園高/177cm)を起用。セッター道井淳平(4年/石川県工高/196cm)と対角を組むのは西村だが、仲本とともにサーブレシーブに参加する。ミドルは高さのある1年生、川口柊人(駿台学園高/200cm)と鬼木錬(祐誠高/204cm)だ。慶應義塾大戦の鬼木のアタック決定率は91.7%(打数12本)。セッター道井が長身、サウスポーという武器を生かして積極的に攻撃を仕掛けて、勝利をものにした。翌日の東京学芸大戦はチーム全体のアタック決定率が36.8%と振るわず、フルセットの末に敗れたが、実戦を通して長身選手の育成を目指す山本健之監督の心意気に感心した。スタメンを任された道井は「自分が変わらないと勝てない。日々の練習から大学日本一を目指してやっていく」と気合い十分。これまで同期のセッター河東祐大(鹿児島商高/173cm)に頼る場面が多かったが、大学生活最後の年にどのような成長を見せるのか、楽しみだ。




【明治大学】ミドル安井がポジションを獲得。新リベロは鳴尾と瀧田
昨年度、全日本インカレで3位に輝いた明治大は、リベロ小川智大(豊田合成)が卒業しただけでレギュラーがそっくり残っている。さらにインターハイ優勝メンバーの安井恒介(市立尼崎高/189cm/ミドル)が加わり戦力は充実しているが、鈴木康時監督は「強力なリーダーシップを発揮してきた小川の抜ける穴は大きい」と楽観視はしていない。小松一哉(4年・主将/雄物川/179cm/アウトサイド)、鎌田佳朗(4年/東亜学園高/179cm/アウトサイド)ら4年生も同じ気持ちで臨んでいる。レギュラーの1人、三輪大将(3年/高川学園高/191cm/ミドル)が体調不良で2日間コートに立てなかったこともあり、開幕戦では駒澤大を相手にフルセット負けを喫したが、翌日の日本大戦は不利な状況をはねのけて勝利をものにした。トリッキーなトスワークが信条の上林直澄(3年/東亜学園高/183cm)は、1年生の安井を積極的に使い、2試合ともに打数は30を超えた。それでも駒澤大戦ではアタック決定率71.4%(打数35本)と、高い数字を残している。新リベロの鳴海空海(2年/習志野高/168cm)にかかる期待は大きいが、上林の手にボールが入る機会が増えれば、昨年以上の成績を狙えるチームだ。



【中央大学】オポジットに中野、リベロは土岐が専任。新1年生は内山がデビュー
中央大は、セッター対角に起用していたサウスポーの谷口渉(FC東京)が卒業。そこに中野竜(3年/創造学園高/182cm)をオポジットとして起用したため、サーブレシーブの布陣が変わった。昨年は、谷口と、リベロ柳田貴洋、アウトサイド富田将馬(4年/東山高/189cm)の3人で対応していたが、今年は富田を軸に、リベロの土岐太陽(3年/駿台学園高/169cm)ともう一人のアウトサイドでサーブレシーブを行う。本来なら都築仁(3年/星城高/194cm/2019年度日本代表)だが怪我のため出場できず、順天堂大戦は斎藤総人(4年/福井工大福井高/182cm)が、専修大戦は鍬田憲伸(2年/鎮西高/190cm)がスタメンに起用された。専修大には勝利したが、どちらの試合もチームとしてのサーブレシーブ成功率は50%に届かず。サーブレシーブの向上が望まれる。ミドルの水野将司(4年/愛工大名電高/187cm)も怪我のため出場できず。スタメン入りした平井海成(3年/祐誠高/195cm)がこのチャンスをものにしようと、トレードマークの笑顔と元気でチームを盛り上げている。セッターは牧山祐介(4年・主将/洛南高/187cm)と山岸隼(2年/東山高/185cm)がスタメン争いを繰り広げている。試合を重ねていく中で誰がレギュラーに定着するのかも興味深い。豊田昇平監督の采配に注目だ。



【順天堂大学】アウトサイドに1年生の亀山を起用
昨年、春季リーグ戦で旋風を巻き起こした順天堂大。今年も春に強い順天堂は健在か。そう思わせる理由が2つある。1つはリベロ高橋和幸(2年/駿台学園高/170cm)を含め、昨年のレギュラーがほぼ残っていて連携が取れていることだ。ブロックの決定本数こそ少ないが、中村竜輔(4年/土浦日大高/193cm/ミドル)、タナカ ショーン 力(3年/習志野高/181cm/ミドル)を軸としたディフェンスに磨きをかけて粘り強いバレーを展開している。もう1つは卒業した関本信太郎に代わり起用された、1年生の亀山拓巳(常翔学園高/190cm/アウトサイド)が攻守に存在感を発揮していることだ。昨年、春季リーグ戦で新人賞を獲得する活躍を見せ、レギュラーに定着した岡本捷吾(2年/開智高/181cm/オポジット)のように、これからの順天堂大を支える1人になりそうだ。



【駒澤大学・東京学芸大学】駒澤大の新戦力はセッター江藤、東京学芸大はリベロ荒井
駒澤大学は、セッター丸山航とミドル遠藤樹が卒業し、新セッターに1年生の江藤巧(高川学園高/180cm)、ミドルに尾形哲郎(4年/山形中央高/184cm)が抜擢された。駒澤大学の強みは攻守の要であるアウトサイドの谷平拓海(主将/宇部商高/187cm)、齋藤浩貴(東京学館新潟高/178cm)、橋本直幸(大分工高/184cm)ら、主力選手が4年生であることだ。1年生の江藤がアタッカーをうまく使えるようムードを作って、開幕戦では明治大学に競り勝った。勢いづくと怖いチームだ。
東京学芸大学は、今年もアウトサイドの吉田裕亮(3年/駿台学園高/188cm)、小野翔平(2年/岡山東商高/187cm)が軸のチーム。オポジットには須貝祐介(VC長野)の卒業に伴い小松海渡(3年/日本航空高/194cm)が、リベロには1年生の荒井大雄(大塚高/178cm)が起用され、攻撃を司るセッターは2年生の森本泰司(近江高/184cm)に託した。筑波大戦はサーブレシーブを崩され、力を発揮できずに終わったが、翌日には息を吹き返し、日本体育大を相手にセットカウント1ー2から逆転で勝利した。この勝利が火付け役となるか。これからが楽しみだ。




春季リーグ戦 第3日は4月14日(土)14時から、第4日は15日(日)11時から、東海大学湘南キャンパス総合体育館で行われる。前週の結果を踏まえて、各チームが対策を練るのはもちろんのこと、選手の入れ替えやチーム構成に手を加えて不具合を調整するチームもあるだろう。そうした駆け引きが始まる中で新レギュラーの力も試される。真剣勝負の戦いから目が離せない。
【日程及び組み合わせ】
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