2018年10月26日に開幕したバレーボールの新生Vリーグは、3回戦総当たりのレギュラーラウンドを終えてプレーオフに入る。3月9日(土)から始まるファイナル6(レギュラーラウンド上位6チームによる1回戦総当たり)を経て、新生Vリーグ初代チャンピオン、そして平成最後のチャンピオンに輝くのはどのチームだろうか。
※ファイナル6はレギュラーラウンドの順位に準じて1位=5pt、2位=4Pt、3位=3pt、4位=2pt、5位=1ptが与えられた上で行われる。
(TOP画像は昨シーズンの優勝の瞬間)
【レギュラーラウンド順位】
1位 パナソニックパンサーズ
2位 サントリーサンバーズ
3位 豊田合成トレフェルサ
4位 JTサンダーズ
5位 東レアローズ
6位 堺ブレイザーズ
7位 ジェイテクトSTINGS
8位 FC東京
9位 大分三好ヴァイセアドラー
10位 VC長野トライデンツ
パナソニックパンサーズ
もっとも早くファイナル6進出を決めたのは昨シーズン3冠(天皇杯・Vリーグ・黒鷲旗)を成し遂げたパナソニックだ。今シーズンも、3年目を迎えたクビアク・ミハウ(OH)を軸に、白澤健児(MB/ブロック賞を獲得)、福澤達哉(OH)、深津英臣(S)、山内晶大(MB)、永野健(L)という不動のメンバー構成で安定感のある戦いぶりを見せた。その中で新人の大竹壱青(OP)がのびのびとプレー。さらにレギュラーラウンドを通して期待の若手、久原翼(OH/2年目)をコートに送り込み、ファイナル6以降の大事な戦いにも起用できる目処が立っている。3レグで復帰を果たした清水邦広(OP)が術部の感染症のため再び戦列離脱を余儀なくされたことは残念だが、チームの結束は固く、連覇に向けて万全の調整で臨んでくることは間違いない。

サントリーサンバーズ
サントリーは、新人の大宅真樹(S)がスタメンに定着。身長218cm・最高到達点375cmという破格の高さを誇るドミトリー・ムセルスキー(OP/得点王・スパイク賞を獲得)を切り札に攻撃を組み立てて好スタートを切った。レギュラーラウンド後半はやや負けが込んだものの、前半の貯金が大きく、2位でファイナル6進出を決めた。荻野正二監督は若手を積極的に起用。大宅と同期の秦耕介(OH)、小野遥輝(MB)、喜入祥充(L)、2年目の小川猛(OP)ら、フレッシュな選手たちの思い切ったプレーがチームに活気を与えている。ファイナル6では、今シーズンからキャプテンを務める藤中謙也(OH)、Vリーグ栄誉賞(Vリーグ通算230試合出場達成)を受賞した米山達也(OH)、鶴田大樹(L)を要に、コートでは栗山雅史(OH)、星谷健太朗(MB)らが起爆剤となって、昨シーズン6位からの飛躍を目指す。

豊田合成トレフェルサ
2015/16シーズンで初優勝を遂げて以来、3シーズン連続でファイナルに進出(その後は準優勝)している豊田合成は戦い方を知っている。3レグの2試合目以降、大砲オムルチェン・イゴール(OP)をケガで欠くというアクシデントに見舞われたが、その試合も含めて3レグは椿山竜介(OP)が奮闘。チームの顔・高松卓矢(OH)、不動のミドル・近裕崇、傳田亮太、守護神・古賀幸一郎(L/サーブレシーブ賞を獲得)が水準の高いパフォーマンスを維持してチームを支え、7勝をあげて3位に浮上した。3レグの頑張りは、イゴールの復帰後も生きるに違いない。ファイナル6では初日にレギュラーラウンド1位のパナソニック、2日目に2位のサントリーと対戦する。この2戦でポイントを奪えるかどうかに注目だ。

JTサンダーズ
JTは今シーズン、大砲エドガー・トーマス(OP)に加え、アジア枠で中国ナショナルチームのエース・劉力賓(OH)を獲得。2人の間に新人の小野寺太志(MB/202cm)を置くことで、3人が前衛に揃うローテーションでは高さのあるブロックが大きな武器となっている。攻撃では、セッター深津旭弘が脂の乗ったトスワークで相手ブロッカーに的を絞らせない。キャプテン山本将平(OH)、今シーズンフル出場の安永拓弥(MB)、2年目のリベロ・井上航も安定的にパフォーマンスを発揮しており、個の能力では上位3チームに勝るとも劣らない。天皇杯優勝を機に、リーグでも8連勝してファイナル6進出に王手をかけたが、あと1勝というところで4連敗を喫し、その結果、4位通過となった。最終週は劉に代わり、武智洸史(OH)をスタメンに起用していた。心身のコンディションをうまく整えて、JTらしい攻撃的なバレーを展開できればファイナル6で巻き返す力は十分にある。

東レアローズ
5位の東レは、開幕当初から李博、高橋健太郎(共にMB)をケガで欠き、苦肉の策で新人の戸嵜嵩大(OH)をミドルに起用。キャプテン星野秀知(OH)を攻守の要に据えて戦ってきた。「1レグを五分の星でつなげれば…」と話していた小林敦監督。そこまではほぼ想定どおりだったが、李、高橋と入れ替わるように、戸嵜、星野、富松崇彰(MB)がケガで離脱。セッターの藤井直伸も3レグの試合中に骨折し、今シーズンはコートに立てなくなった。戦力の問題に加え、アジア枠で獲得したアウントゥ(OH)とは言葉の壁があり、3レグになっても東レの特色である粘りのバレーができない苦しい状態が続いた。ファイナル6進出を決めることができたのは、得意のサーブでチームを乗せた鈴木悠二(OH/Vリーグ通算230試合出場達成でVリーグ栄誉賞を受賞)、持ち前のキャプテンシーで東レバレーを蘇らせた渡辺俊介(L)ら、ベテランの働きが大きい。加えて、内定選手の酒井啓輔(S/筑波大学在学)も藤井の抜けた穴を埋めようと全力で戦っている。チーム一丸で立ち向かう東レは、ファイナル6でも侮れない存在となるだろう。

堺ブレイザーズ
堺は、浅野博亮(OH)、西田有志(OP/サーブ賞を受賞)らがチームを牽引するジェイテクトと最終週まで白熱した順位争いを繰り広げたが、パナソニック戦の勝利が決め手となり、6位に滑り込んだ。真保綱一郎監督が就任して初のファイナル6出場となる。その立役者となったのは、内定選手、樋口裕希(OH/筑波大学在学/1月19日から参戦)だ。3レグの9試合すべてにスタメン出場すると、1レグ、2レグともに最下位だったチームのサーブレシーブ成功率が3位に浮上。セッター関田誠大(新加入/パナソニックから移籍)の手にボールが入る率が高まると、ジョルジェフ・ニコラ(OP)をはじめ、高野直也(OH)、出耒田敬、松本慶彦(共にMB/松本はVリーグ通算出場セット数で日本記録を更新中)ら、実力のあるアタッカー陣が躍動し、3レグでは7勝をあげた。新加入のリベロ・山本智大(FC東京から移籍)の存在感も試合を重ねるごとに増しており、ファイナル6ではさらに進化した堺のバレーが見られるに違いない。

【ファイナル6組み合わせ】
《3月9日》草薙総合運動場体育館(このはなアリーナ)
11:00 パナソニックvs豊田合成
13:00 サントリーvs堺
15:00 JTvs東レ
《3月10日》草薙総合運動場体育館(このはなアリーナ)
12:00 パナソニックvs堺
15:00 サントリーvs豊田合成
《3月16日》丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
11:00 パナソニックvs東レ
13:00 サントリーvsJT
15:00 豊田合成vs堺
《3月17日》丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)
12:00 パナソニックvsJT
15:00 サントリーvs東レ
《3月23日》大田区総合体育館
11:00 豊田合成vs東レ
13:00 JTvs堺
15:00 パナソニックvsサントリー
《3月24日》大田区総合体育館
12:00 東レvs堺
15:00 豊田合成vsJT
※各日の第2試合以降は、開始時間が遅れる可能性があります。
※ファイナル6の最上位チームはファイナルへ、2位と3位はファイナル進出決定戦であるファイナル3に。
【ファイナル3日程】
《3月30日》川崎市とどろきアリーナ 12:08
《3月31日》川崎市とどろきアリーナ 12:08
※2回戦制。1勝1敗の場合はセット率にかかわらず、1セット限りのゴールデンセットを、31日の試合後に同じコートで行う。ゴールデンセットでは改めてベンチ入りメンバーを登録することができ、それを制したチームがファイナルに進む。
【ファイナル日程】
《4月7日》武田テバオーシャンアリーナ 13:10
《4月14日》武蔵野の森総合スポーツプラザ 14:10
※2回戦制。1勝1敗の場合はセット率にかかわらず、1セット限りのゴールデンセットを、14日の試合後に同じコートで行う。ゴールデンセットでは改めてベンチ入りメンバーを登録することができ、それを制したチームが今シーズンのチャンピオンとなる。
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