2018年春高バレーで鎮西高(熊本)を日本一へ導いた2人のエース、鍬田憲伸(中央大1年)と水町泰杜(鎮西高2年)が、大阪で行われている黒鷲旗全日本男女選抜大会で顔を合わせた。直接対決はなかったが、「初日に1時間ほど話した」という。春高で日本一になってからわずか数ヶ月しか経っていないが、新たな試練と向き合う2人にとって、それは有意義な時間になったようだ。

鍬田はこの春、中央大に進学し、新生活をスタートさせた。大学リーグでは初戦からベンチ入りし、リリーフサーバーとして活躍しているが、この大会ではスタメンに起用された試合もあった。鍬田のプレーを見たという水町に感想を求めると、「憲伸さん、高校では高さがトップクラスだったけど、大学に入って上のカテゴリーと対戦する時は、結構悩んでいるんじゃないかと思う」と話した。

その水町も、2年生ながらゲームキャプテンを任され、鍬田とともにコートに立っていた時とは立場が違っている。今年はコートに立つ3年生がミドルとリベロなので、常にコートにいる水町が大役を任されたのだ。
春高で日本一になった時に「鎮西はエースで勝負するチーム。鍬田、水町に打たせるために、今年のチームは一人ひとり役割が決まっていた。それを全うできるのが今年のチームの強みだった」と、鎮西高の宮迫コーチが話していたが、鎮西のエースはみんなが拾い、つないだボールを打ち切る責任を背負っている。その重みはエース・キャプテンに引き継がれる背番号3を背負った者にしかわからない。

この大会でも水町は高校生離れしたプレーを見せたが、本人は反省しきりだった。「上のカテゴリーの人たちはミスが少ないし、高さもあって、粗いプレーが多い自分はまだまだ。全然ダメだなと思いました。今日(筑波大戦)も勝負どころでジャンプサーブをミスしてしまった。あれがすべて。負けたのは自分のせいです」。そんな水町を、鍬田は「負担が大きくて大変そう」と思いやった。

ともに震災を経験し、練習場所を転々としながらも日本一という目標を果たした2人には兄弟のような絆を感じる。「また、一緒にプレーしたい?」と聞くと、鍬田は「YES」水町は「NO」。弟分の水町は「憲伸さんとは一緒にプレーするよりも戦いたい」と言い切った。
鎮西の試合が終わり、鎮西とパナソニックの選手とがすれ違った時に、水町を見つけてクビアク・ミハウがポンポンと水町の頭をたたいた。その時の水町が、実にかわいかったと鍬田に伝えると、兄貴分の鍬田は「あいつ、前からクビアクさんが大好きなんですよ」と即答。「だから会えてうれしかったんじゃないですか」とつけ加えた。

ここで2人が会うことができたのも何かの縁。2人で交わした言葉を力に変えて、さらなる飛躍を願うばかりだ。
関連記事
鍬田憲伸が強心臓ぶりを発揮!
鎮西が優勝した時の試合が素晴らしすぎて忘れられません。そのヒーローの二人の再会シーンを知れてうれしいです。
クールに見える鍬田くんの温かいところもいいですね。
いいねいいね