永露元稀「全日本初選出!飛躍の年にしたい」

東海大学主将 永露元稀

東福岡高時代はアタッカーとして活躍。東海大学入学後にセッターに転向した永露元稀(4年)が、今年度主将に就任し、大学の春季リーグ戦ではスタメン、フル出場でチームを牽引している。今年2月にはU-23に選出されてアジア競技大会公式テストイベントに参加。その後、全日本にも初選出されて、さらなる成長を期す永露に意気込みを聞いた。

 

運動能力が高く、これからが楽しみな選手

 

▶キャプテンには慣れましたか。

永露 「全タイトル(春・秋リーグ、東日本・全日本インカレ)を獲る」ということを目標に掲げてスタートしましたが、春リーグで早くも2敗してしまい、厳しさを痛感しています。周りの4年生が支えてくれる分、自分ももっとやらないと…という気持ちで頑張っています。

 

▶春季リーグ戦の対戦カードには前年度の秋季リーグ戦の成績(東海大は7位)が反映されます。7位以下のチームは前半に6位以上のチームと対戦するので、そこが苦労するところでしょうか。

永露 そうですね。例年、戦いながらチームを作っていき、チームが出来上がった状態で中央さんや早稲田さんなど(の強豪チーム)と対戦するのですが、今リーグは早めに当たります。それが僕らの中で焦りになってしまい、いい結果に結びついていないのが残念です。でもまだ序盤なので、最後まであきらめずに戦っていきます。

 

▶ミドルの小野寺太志選手(JT)、神谷雄飛選手(豊田合成)が抜けた穴は大きいですが、4年生の佐藤謙次選手(4年)も世代別の日本代表に選ばれる力のある選手。東海大は今年度も選手層が厚く、大学リーグで上位を争える力をもっていると思いますが。

永露 「勝ちたい」という気持ちは、どの大学にも負けないと思います。それが自信になっています。戦力的にも佐藤やその対角の木本(吉紀)らが4年生らしくチームを引っぱりながらプレーも頑張っているので、自分もそれに応えて、どんな状況になっても勝ちにこだわって戦っていきたいと思っています。

 

▶2月にインドネシアで行われたアジア競技大会公式テストイベントに参加したU-23では、高梨健太選手(日体大)、樋口裕希選手(筑波大)、そして永露選手がそれぞれの個性を生かしてチームを引っ張ったと聞きました。

永露 そうなんです。高梨だったらプレー面で、樋口だったらプレーもなんですけど表情で(リーダーシップを)見せてくれる。自分はプレー面ではまだまだだと思っているので、その分、人に伝える声やコミュニケーションを取ることを怠らないようにしていました。

 

▶そういうところが、永露選手らしさになりますか。

永露 プレーでも支えなければいけないのですが、自分はまだそのレベルに達していないので、試合中はもちろん練習の時から言葉で伝えることを意識してやっています。例えば、東海大では新井(雄大/2年)がポイントゲッターなので、日頃からコミュニケーションを取るようにしています。コートでも、新井は年下ですが勝負どころで「1本もってこい」と声をかけてくれるし、僕も「頼むぞ」という声かけをしているので、ラリーの中でも安心してトスを上げられます。

 

▶今リーグ、期待の大型セッター(※)がスタメン起用されて、そこも見どころの1つになっていますが、意識していますか。

永露 僕は大学生になってからセッターを始めました。自分の強みは長身(191cm)ながら丁寧なトスを上げられるところだと思っているので、そこを大事にしていきたいと思っています。Bパス、Cパスからのトスが不十分で、しっかりスパイカーに打たせることができていないので、そこは改善点だと思っています。

 

※大型セッター

筑波大⇒酒井啓輔(4年/186cm)

中央大⇒牧山祐介(3年/187cm)

日体大⇒道井淳平(3年/196cm)

 

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高い位置でボールをさばけるのが持ち味のひとつ

 

▶アタッカーからセッターに転向する上でもっとも苦労したのはどんなところですか。

永露 経験だと思います。金子(聖輝/JT/東福岡高の1年後輩で、アタッカーからセッターに転向)もそうだと思います。練習は頑張っていると思いますが、試合に出なければわからないことがたくさんあります。僕が試合に出させてもらったのは大学3年生から。経験が浅いので、練習の時からそれを意識してやらなければ成長できないと思っています。

 

▶葛藤はなかったですか。

永露 ありましたよ。高校の時から、龍(一誠)さん(東福岡高・東海大で1年先輩)と僕と金子とでセッターの練習をしていましたが、大学では教わることより、自分から学び取ることのほうが多くなるので、最初はどうすればいいかわからず、とまどいました。大学では龍さん、代表合宿では関田(誠大/パナソニック)さんをはじめ、上の人たちのプレーを見ながら勉強させてもらいました。特に龍さんにはよく相談しましたし、いろいろなことを教えてもらいました。それが今、試合に生きている部分もあります。これからも、龍さんに教えてもらったことを少しずつ真似していきたいと思っています。

 

▶龍選手のすごいなと思うところはどんなところですか。

永露 どんな状況でもセンター線を意識したゲームプランを作れるところです。

 

▶ラリー中の攻撃の組み立ては難しいですか?

永露 最初は、どこに上げよう、どこに上げようと迷いながら上げていましたが、最近はだいぶ試合に慣れてきて、バタバタしている時でもここという得点できる可能性が高いところに上げることができていると思います。試合を重ねるごとに視野も広がっていると思います。

 

▶石川祐希選手は動画を見て勉強していると言っていましたが…。

永露 僕もそうです。最初は日本人選手のプレーを参考にさせてもらっていましたが、日の丸をつけるようになってからは世界のセッターを見て勉強しています。

 

▶例えば?

永露 イランの(サイード・)マルーフ選手とか、フランスの(バンジャマン・)トニウッティ選手のプレーをよく見ています。

 

▶運動能力の高い選手は真似が上手と聞きますが、永露選手は他のスポーツも得意ですか。

永露 自分はスポーツが大好きで、体育の評価はよかったです。2月のU-23での体力テストでも1位でした。跳ぶのが苦手なので、メディシンボール(筋力)やアジリティー(瞬発力)のテストで得点を伸ばしています(笑)。

 

▶跳ぶのは苦手なんですか。

永露 最高到達点が330cmくらいなので、ウエイトトレーニングに力を入れてジャンプ力もつけなければいけないと思っています。

 

▶永露選手に続く、総合的に運動能力の高い選手は?

永露 樋口や堀江(友裕/早稲田大3年)ですね。今回はたまたま自分が1位でしたが、もっともっと力を伸ばさなければいけないと思います。

 

日本待望の大型セッターは献身が信条

 

▶昨年度は東アジア地区大会のメンバーに選出されましたが、ユニバーシアード大会は選出されませんでした。毎年、酒井選手と競い合っている印象ですが、代表に対する思いを聞かせてください。

永露 大学1年生の時に初めて世代別日本代表チーム(アジアU-23)に選んでもらいましたが、その時はまだ戦力ではなく、期待されて選んでもらったと思っています。その時の監督が酒井新悟さん(現久光製薬監督)で、酒井さんにセッターとしての基本を教えていただきました。その後も選ばれたり、選ばれなかったりで、悔しさがありました。大学で練習している時も「絶対に次は入ってやる」「絶対に負けないぞ」と思って練習やウエイトトレーニングに励んできました。それが実って、今年2月のU-23では自分が正セッターに起用され、海外との試合を経験することで成長できたので、ここが代表の第一歩だと思っています。ゴーダンさん(・メイフォースU-23監督)の期待に応えられたかどうかはわかりませんが、自分なりには収穫のある遠征になったと思います。

 

▶ゴーダン監督のアドバイスはどんなことでしたか。

永露 センター線の使い方やパイプのバックアタックの速さなどが日本とは違いました。自分は経験が浅いので、教えてもらいながらそれを実践し、成長できたと思います。

 

▶その後、シニアの発表がありましたが、選ばれるという手応えはありましたか。

永露 いいえ、全然考えていませんでした。2月のU-23で集まった時に全員を前にして中垣内(祐一)さん(全日本男子監督)や矢島(久徳)さん(男子強化委員長)から、「この中から何人か、(シニア代表に)選ばれてほしい」という話をいただいたので、もちろん選ばれたらいいなとは思っていましたが、自分が入れるとは思っていませんでした。だからメンバーに入ったことを知った時は驚きました。期待に応えられるように頑張りたいと思っています。

 

▶全日本に選出されるには強みとなる特長が欠かせないと聞きます。自分ではどんなところを特長ととらえていますか。

永露 一番の強みは長身のセッターであるということです。その中でもトスの柔らかさやうまさを買ってもらえたのではないかと思っています。また、自分は高校までアタッカーだったので、ネット際のプレーやブロックもある程度の技術を持っていると思います。(日本には)うまいセッターがたくさんいるので、そういう人たちと比べても遜色のない技術をもっていなければ生き残れないと思います。高さがあるということに安心せずにしっかり頑張りたいです。

 

▶アタッカー経験者ですが、あまり自分から攻撃するタイプではないですよね。

永露 自分は目立つタイプではないですし、セッターなので自分よりもアタッカーを目立たせなければいけないと思っています。(アタックを)打てないわけではないですが、周りを生かすということをモットーに、チームの土台を作れる存在にならなければいけないと思ってプレーしています。

 

▶打てるボールが来てもあえて打たない?

永露 はい。自分は泥臭くやっていきたいです。

 

▶セッターで手本にしている選手はいますか。

永露 自分よりも実力が上の人ばかり。その中でも深津英臣さん(パナソニック)や藤井(直伸)さん(東レ)は試合で見ることが多い選手です。今回は一緒に合宿ができるということで、いろいろなことを盗めたらいいなと思っています。

 

▶シニアの合宿を楽しみにしている様子が伝わってきますね。

永露 緊張している部分もあるのですが、今まで世界を相手に戦ってきた人たちと一緒に練習できる絶好の機会なので、いろいろなことを吸収したいという思いは強いです。

 

▶今年はどんな1年にしたいですか。

永露 まずは東海大学として、チーム的にも個人的にもいい方向にもって行けるように、バレーボールに打ち込んでいきたいです。また、この1年、いろいろなところで選ばれるように、もっともっとうまくなれるように頑張りたいと思います。世界選手権、またはアジア競技大会のメンバーから外れたとしても、チームに同行して、ユニホームを着て感覚を味わうだけでも得られるものがあると思うので、どん欲にこのチャンスを生かして成長したいですね。

 

▶オリンピックが目標ですか。

永露 はい。これまではシニアに選ばれるのが目標でした。それをクリアしたので、もう1つの目標であるオリンピック出場を目指して頑張りたいです。東京オリンピックに間に合うかどうかは自分次第。次のオリンピックも強化選手の枠に入っていると思うので、そこを見据えてやっていきます。

 

▶金子選手との競争になるかもしれませんね。

永露 そんなにライバル心はないですよ。藤元(聡一)先生(東福岡高監督)が将来を見据えてセッター転向を勧めてくださったので、切磋琢磨して、常に選んでもらえる力をつけていきたいと思います。

(取材・構成/金子裕美)

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大学バレーは新たなシーズンが始まったばかり。このインタビューを行ったのが4月15日、翌16日は薩摩川内市での全日本合宿に合流。しかし、19日には大学に戻り、20日に調整して週末のリーグ戦に出場。月曜日には再び全日本へ。かなりハードなスケジュールとなるが、その瞳にはやる気が満ちていた。

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