【TOKYO2020】準々決勝進出なるか。予選ラウンド最終戦での勝利が絶対条件

好守で攻撃の起点をつくるリベロ山本智大。

日本は、7月30日(金)に有明アリーナ(東京都江東区)で予選ラウンド第4戦を行い、ポーランドに0ー3(22-25、21-25、24-26)で敗れて2勝2敗となった。第3戦終了時点で4チームが2勝1敗で並んでいたが、この日、3勝目をあげたポーランドとイタリアの準々決勝進出が決定。また、1勝2敗のカナダがベネズエラに勝利し、勝敗で日本、イランと並んだが、勝ち点・セット率により第5戦の結果を待たずに4位以内を確定した。日本が準々決勝に進出するには、イランに勝つことが絶対条件となった。(写真提供:FIVB)

ずぬけた成長力でチームを支える高橋藍。

ポーランド(世界ランキング2位)のような、得点能力の高い選手が揃うチームに勝つためには、サーブで揺さぶりをかけ、余裕をもってプレーさせないことが重要だ。また、被ブロックをいかに回避するかを考えながらプレーしなければならない。難しい試合になることは必至だったが、日本はイタリアとの敗戦を糧に、第1セットから冷静にプレーした。地力に勝るポーランドに1、2セットを奪われたが、そこで崩れずに仕切り直しができたことも収穫だ。高橋藍に代わり、第3セットのスタートからコートに立った高梨健太も落ち着いてプレーし、点を取られたら取り返す、互角の戦いを繰り広げた。終盤、再びリードを奪われても自分たちのバレーを見失うことなく、集中力を切らさずにボールをつなぎ、攻めることができていた。ポーランドに敗れはしたが、次につながる戦いぶりだった。

日本にとって、第5戦の勝敗が準々決勝進出の鍵になることは想定内であり、中垣内祐一監督はオリンピック前に行われたネーションズリーグに向けての会見でも「イランには勝たなければいけない」と話し、意図をもって戦ってきた。イランにとっても勝てば準々決勝進出が決まる真剣勝負に日本はどのように立ち向かうのか。2017シーズンから試行錯誤しながら築いてきたチーム力の真価に注目したい。

【A組戦績】

ポーランド  3勝1敗(イラン2ー3・イタリア3ー0、ベネズエラ3ー1、日本3ー0)勝点10

イタリア  3勝1敗(カナダ3ー2・ポーランド0ー3、日本3ー1、イラン3ー1)勝点8

カナダ 2勝2敗(イタリア2ー3・日本1ー3、イラン3ー0、ベネズエラ3ー0)勝点7 

日本 2勝2敗(ベネズエラ3ー0・カナダ3ー1、イタリア1ー3、ポーランド0ー3)勝点6

イラン 2勝2敗(ポーランド3ー2・ベネズエラ3ー0、カナダ0ー3、イタリア1ー3)勝点5

ベネズエラ 0勝4敗(日本0ー3・イラン0ー3、ポーランド1ー3、カナダ0ー3)勝点0

【TOKYO2020】イタリアに敗戦。日本男子のA組は全勝なし。4チームが2勝1敗で並ぶ混戦に

ミドルブロッカーによる得点が22。イタリアの戦略にはまり、初黒星を喫した

バレーボール男子日本代表は、7月28日(水)に有明アリーナ(東京都江東区)で予選ラウンド第3戦を行い、イタリアに1ー3(20-25、17-25、25-23、21-25)で敗れて2勝1敗となった。日本と同じA組で2戦2勝のイランも、この日カナダに敗れため、全勝が消えて4チームが2勝1敗で並ぶ混戦となっている。予選ラウンドは全5試合で、各組、上位4チームが準々決勝に進む。次戦は30日(金)。日本は強豪ポーランドと対戦する。(写真提供:FIVB)

厳しい戦いながらも、チーム最多の22得点でチームを牽引したキャプテン石川

スターティングメンバーは変わらず。関田誠大(セッター)、石川祐希(アウトサイドヒッター)、山内晶大(ミドルブロッカー)、西田有志(オポジット)、高橋藍(アウトサイドヒッター)、小野寺太志(ミドルブロッカー)、山本智大(リベロ)という布陣。

日本はカナダ戦同様、サイドアウトを取りながら、ブレイクのチャンスを待つ展開に持ち込みたかったが、第1セット中盤からは相手のサーブに崩されて、石川、西田に頼らざるを得ない展開となった。高さのあるブロックがしっかり2枚つく状況に、石川も厳しい表情。第2セットに入るとブロックにつかまる場面が増えて、日本ベンチは関田に代わり藤井直伸、高橋に代わり高梨健太、山内に代わり李博を投入。さらに終盤、石川に代えて、今大会初出場の大塚達宣をコートに送ったが戦況は変わらず。日本は第1セットに続き、第2セットも失った。

難しい局面でコートに立つことが多い藤井。相手を惑わすトスワークに期待がかかる

後がない第3セット。藤井、高梨、李をスタメンに起用した日本は、序盤からクイックやパイプなど真ん中からの攻撃を絡めてリードした。中盤で逆転を許したものの終盤まで粘り抜き、小野寺の2本連続サービスエースで同点に追いつくと、逆転でこのセットを奪った。

第3セットと同様の戦い方ができれば、その後もセットを奪うチャンスは十分にあると期待したが、第4セットは序盤から相手のブロックが立ちはだかり、思うような攻撃ができない。流れを呼び込もうと粘るがリードを奪うことはできず。21対25でこのセットも失って、日本は今大会初の黒星を喫した。

前に落とす、選手間を狙うなど、相手を揺さぶるサーブが光った小野寺

終わってみれば、イタリアのブロックによる得点が13(ベネズエラ戦は2、カナダ戦は6)と、日本が攻めあぐねたことがわかる。次のポーランド戦は、Vリーグの助っ人クビアク・ミハウとクレク・バルトシュを擁する、世界ランキング2位の強敵だけに、日本としてはまずはサーブで揺さぶりをかけ、攻撃を絞れる展開に持ち込みたい。また、相手ブロッカーを惑わす攻撃体制をいかに作れるかが、勝利をつかむ鍵になるだろう。

【A組戦績】

ポーランド  2勝1敗(イラン2ー3・イタリア3ー0、ベネズエラ3ー1)

日本 2勝1敗(ベネズエラ3ー0・カナダ3ー1、イタリア1ー3)

イラン 2勝1敗(ポーランド3ー2・ベネズエラ3ー0、カナダ0ー3)

イタリア  2勝1敗(カナダ3ー2・ポーランド0ー3、日本3ー1)

カナダ 1勝2敗(イタリア2ー3・日本1ー3、イラン3ー0)

ベネズエラ 0勝3敗(日本0ー3・イラン0ー3、ポーランド1ー3)

【TOKYO2020】カナダも撃破。リベロ山本の献身的な守備に攻撃陣が応える、チーム一丸となっての勝利に歓喜

最後まで気持ちを切らすことなく戦い、3-1でカナダに勝利。

バレーボール男子日本代表は、7月26日(月)に有明アリーナ(東京都江東区)で予選ラウンド第2戦を行い、カナダに3ー1(23-25、25-23、25-23、25-20)で勝利して2勝目をあげた。リベロ山本の献身的な守備に攻撃陣が応える、チーム一丸となっての勝利に歓喜した。(写真提供:FIVB)

紅白戦での右足首捻挫に加え、VNLで左太もも肉離れも、気力で克服し、この日は西田らしいアグレッシブな攻撃でチームの勝利に貢献した。

スターティングメンバーは第1戦と変わらず。関田誠大(セッター)、石川祐希(アウトサイドヒッター)、山内晶大(ミドルブロッカー)、西田有志(オポジット)、高橋藍(アウトサイドヒッター)、小野寺太志(ミドルブロッカー)、山本智大(リベロ)という布陣。
準々決勝進出に向けて、お互いに負けられないという気持ちが激突し、第1セット序盤から引き締まった試合となった。第1セットはカナダ、第2セットは日本が取り、セットカウント1対1となった時点ではまだ、どちらに流れが傾くかわからない状況だったが、第3セットに入ると、この日最多得点(23得点)の西田が切れ味のいいスパイクを連発。エース石川も状況に応じて繰り出す技ありの攻撃で相手を突き放し、日本が第3セットを奪った。続く第4セットはカナダのミスにも助けられ、日本が終始リードを奪う展開。ディグに定評のある山本、ボール裁きが秀逸な関田の頑張りに攻撃陣が応える、まさにつなぐバレーで勝った日本が、嬉しい2勝目をあげた。

サーブレシーブにディグに本領を発揮した山本。

セッター関田は「1セット目こそ、大事な場面での1点が取れなかったが、2セット目以降、それが取れたことが勝因。一人ひとりの気持ちがボールに乗っていた。サーブレシーブが安定していたこともよかった」と振り返った。また、「着実にチーム力は上がっているので、これからが楽しみ。次戦のイタリアは格上の相手だが、自分たちのバレーをして勝ちたい」と話した。

【A組戦績】
日本 2勝(ベネズエラ3ー0・カナダ3ー1)
イラン 2勝(ポーランド3ー2・ベネズエラ3ー0)
ポーランド  1勝1敗(イラン2ー3・イタリア3ー0)
イタリア  1勝1敗(カナダ3ー2・ポーランド0ー3)
カナダ 0勝2敗(イタリア2ー3・日本1ー3)
ベネズエラ 0勝2敗(日本0ー3・イラン0ー3)

チーム一丸となっての勝利に選手、スタッフともに満面の笑み。次戦に期待がかかる。

【TOKYO2020】ベネズエラに完勝。幸先の良いスタートを切る!

初戦にもかかわらず、しっかりと地力を発揮した日本。

バレーボール男子日本代表は、7月24日(土)に有明アリーナ(東京都江東区)で予選ラウンド初戦を迎え、ベネズエラに3ー0(25-21、25-20、25-15)で勝利して幸先の良いスタートを切った。オリンピックではバルセロナ大会以来29年ぶりの勝利。(写真提供:FIVB)

トスワークだけでなく、サーブに、つなぎに、気迫あふれるプレーを見せた関田。

スターティングメンバーは、関田誠大(セッター)、石川祐希(アウトサイドヒッター)、山内晶大(ミドルブロッカー)、西田有志(オポジット)、高橋藍(アウトサイドヒッター)、小野寺太志(ミドルブロッカー)、山本智大(リベロ)。
第1セットは序盤からサイドアウトの応酬が続いたが、中盤、関田のサービスエースで流れを引き寄せると、山内が3連続ブロックポイントをあげて19対16と一気に突き放した。もう一人のミドル小野寺もブロックを決めてセットポイントを握ると、最後はエース石川がスパイクを決めて第1セットを奪った。
サーブで揺さぶることと、2枚ブロックが機能していた日本は、第2セットに入っても落ち着いたゲーム運びでリードを保つ展開。このセットを奪うと、第3セットも序盤から徐々に相手を突き放し、中盤に入ると硬さが抜けた西田がサーブ、スパイクに躍動。終盤は、1、2セットも途中出場した藤井直伸(セッター)、清水邦広(オポジット)に続き、高梨健太(アウトサイドヒッター)、さらには李博(ミドルブロッカー)がコートに立った。北京大会を経験している清水が落ち着いて得点しマッチポイントを握ると、最後は日本の切り札ともいうべき藤井、李がコンビ攻撃を鮮やかに決めて25対15。日本はストレート勝ちで1勝目をあげた。
予選ラウンドは、6チームずつA、Bの2組に分かれて1回総当り戦で行われ、各組上位4チーム(計8チーム)が準々決勝へ進出する。まずは準々決勝進出を目指す日本にとって、次のカナダは勝利しなければいけない相手。この勝利を弾みに、次戦でも最高のパフォーマンスを期待したい。

東京五輪出場内定選手12名が決定

日本バレーボール協会は、6月21日に東京オリンピックの出場内定選手12名を発表した。若手の台頭で競争が激化していたアウトサイドヒッターは、現在、リミニ(イタリア)で行われているバレーボールネーションズリーグで安定感のあるプレーを披露している高橋藍、高梨健太。アウトサイドヒッターとセッター対角、2つのポジションを器用にこなす大塚達宣が内定を勝ち取った。出場内定選手12名は下記の通り。競技は7月24日(土)から有明アリーナ(東京都江東区)で開催される。

【アウトサイドヒッター】
石川 祐希 25歳/パワーバレー・ミラノ(イタリア)/キャプテン
「今回、東京オリンピック日本代表に選出していただき大変光栄で、このような大きな舞台でプレーができることをとても嬉しく思います。 結果を求めるとともに、この大会では最高のパフォーマンスを発揮します。 また、今まで支えてくださった方々への恩返しや感謝の気持ちを伝える舞台として全力で臨みます。 まずは、今まで練習でやってきたことや試合で経験してきたことを出せるようにすることが大事だと思います。どんな状況でもその環境や雰囲気を作ることを意識していきたいです。 その中で、苦しい場面などプレッシャーがかかった場面で、プレー面でも、精神面でも、チームの支えになるようにチームを引っ張りたいです。 イタリアという世界のトップリーグで戦ってきて、自分の感情を表現すること、1点の重要性、プレッシャーのかかった時に練習と同じプレーをすることの大切さなど、たくさんのことを学んできたので、それを練習から実践し、自信を持って東京オリンピックに臨めるように取り組みたいです。 若いメンバーは今まで海外の強豪チームと対戦する機会がなかったので、ネーションズリーグではオリンピック前にこのような試合ができ、また海外のチームのことを知ってイメージもできるようになり、チームとしてはとてもいい経験ができています。 課題は、強いサーブが来た時のレセプション(サーブレシーブ)の関係性や失点と、トランジションでの得点の仕方がまだ確立されていないことです。 レセプションは日本チームの強みでもあるので崩されないように戦いたいです。 トランジションでは、ディフェンスはできているので、繋いだボールを得点に繋げられる判断力を高めていきたいです。 個人的には、エースとして苦しい時やここ1点欲しい時に確実に取ることと、キャプテンとしてチームを苦しい時に支えられるように精神面でも頼りになる存在になることでチームに貢献したいです」

【アウトサイドヒッター】
高梨 健太 24歳/ウルフドッグス名古屋
「誰もが目指す場所でバレーボールができる喜びを感じるとともに、もっとやらないといけないという気持ちです。ネーションズリーグではレセプション(サーブレシーブ)とディグ(スパイクレシーブ)のスキル向上が課題であると感じました。オリンピックでは、持てる力を出し切りたいと思います」

【アウトサイドヒッター】
大塚 達宣 20歳/早稲田大学3年
「12人という限られたメンバーの中で、自分がこのチームに何で貢献できるのか、自分の役割は何なのかを考え、チームの勝利のために全力を尽くしたいと思います。 私のプレーの特徴を挙げるとするならばスパイクでのコース打ちやブロックを利用したスパイクなど攻撃面だと思うので、いつも以上のことをするのではなく、私が持っている全ての力を出し切ることでチームに貢献したいと思います。 ネーションズリーグは初めての国際大会で、コートに立っている時間だけでなく立っていない時間も含め、全てが自分のためになっていると感じました。また、世界相手に何が通用するのかを肌で感じることができ、これから一つ一つのプレーの質を上げていくことが必要だと思いました」

【アウトサイドヒッター】
高橋 藍 19歳/日本体育大学2年
「東京オリンピックの代表選手に選出していただいたことを嬉しく思いますし、感謝の気持ちでいっぱいです。ただ、この選考に落ちた選手がいることを忘れずに、その選手の分まで頑張りたいと思いますし、日本のバレーボールを全面に出して勝ちたいと思います。 最年少ということで、まずは自分自身のプレーを全面に出しチームの勝利に貢献することが大切で、それがチームの雰囲気をよくすることに繋がったり、得点に繋がると思うので、若さならではの力を出したいと思います。 ネーションズリーグでは、最初決まっていたスパイクや、サーブレシーブなどが、試合を重ねるにつれ成功率が下がっていってしまうという課題が出たので、連戦でも自分のプレーを安定して出せるようにすることを追求していきたいと思います。オリンピックで活躍するためにもそこが重要になると思います」

【オポジット】
清水 邦広 34歳/パナソニックパンサーズ
「もう一度この舞台に立てるのはとても光栄です。北京世代の分も今までの思いをこの舞台にぶつけていきたいと思います。振り返ると自分自身だけでは到底辿り着けなかったと思います。今まで周りの皆さんにたくさん助けられて、ここまで来ることができました。特に福澤選手がいたからこそ、もう一度這い上がれたと思います。自分自身も投げやりにならず、日々積み重ねがあったからこそだと思います。最年長でもありオリンピック経験者でもあるので、このプレッシャーの中でいかに自分たちの持ち味を出せるか、皆に教えられるものは教えていきたいです。自分が出た時はチームを落ち着かせたり変化させられるように、ベテランならではのプレーをしていきたいです」

【オポジット】
西田 有志 21歳/ジェイテクトSTINGS
「多くの思いを背負い頑張りたいと思います。 ネーションズリーグでは途中まで出場メンバーに入ることができず、すごくもどかしい気持ちが強かったですが、コート外からの景色は、コートの中とは全く違ったので、多くのことが勉強になりました。 自分の役割は流れを変えることです。また、プレーをしている選手、試合を見てくれている方々に活力を与えたいと思います」

【ミドルブロッカー】
小野寺 太志 25歳/JTサンダーズ
「アスリートならば誰もが目指す舞台に選手として選んでいただき、本当に嬉しく思います。たくさんの方の期待に応えられるよう、日の丸を背負って精一杯戦います。 まずは試合の中でスパイク、ブロック、サーブなどで安定したプレーが求められているので、自分の持ち味を生かしながらプレーしたいです。また、ミドルブロッカーの中でのリーダーシップも発揮していきたいです。 たくさんの方が応援してくれていて、自分に期待してくれているので、地元・宮城県や、被災され今も避難所で暮らしている方々に勇気や感動を与えたいです。スポーツにはその力(人を勇気づけたり感動を与える力)があると思うので、そのことを自分達のプレーや結果で皆さんに証明したいと思います」

【ミドルブロッカー】
山内 晶大 27歳/パナソニックパンサーズ
「日本代表に選出されて嬉しい気持ちといよいよ始まると言う緊張感があります。自分にできる最大限のパフォーマンスを準備していきます。プレーに関しては、クイックとブロックでチームに貢献していきたいと思います。自分の強みを最大限に表現していきたいです」

【ミドルブロッカー】
李 博 30歳/東レアローズ
「東京オリンピックのメンバーとして選出していただき大変光栄に思います。結果を残す為により責任と覚悟を持って戦います。 自分の与えられた役割をしっかりと果たし、常に100%の力を出せるよう準備していきたいと思います。 サーブ、スパイク、ブロックフォローなどの細かいプレー、途中出場の場合はチームの流れを変えられるプレーを期待されていると思うので、それを頭において表現していきたいと思います」

【セッター】
藤井 直伸 29歳/東レアローズ
「初めて日本代表に選んでいただいた時から東京オリンピックに出場したいという思いでここまでやってきたので、素直に嬉しいです。自分自身に後悔がないように、全力で戦いたいと思います。また、これまで一緒に戦ってきた仲間、この一年の重みを痛感し、夢半ばにオリンピックという目標を絶たれた人達の想いも感じて精一杯頑張ります。 クイック、パイプといった真ん中を軸とした速いバレーボールを展開すること、そしてチームの雰囲気を盛り上げたり、鼓舞できるような振る舞いでチームに貢献していきたいです。 震災直後、バレーボールを続けることを諦めた時もありました。そんな時に支えてくれた家族、大学関係者の皆さんには感謝してもしきれません。あの時の支えがなかったら今の自分はありません。そして、いつも温かく迎えてくださる地元の方々。毎回帰省する際にたくさん声をかけていただいて、その度に自分にとっての活力になりました。 たくさんの皆さんの後押しがあったからこそ、今こうして日の丸を背負って戦うことができます。そういった皆さんにバレーボールを通して、今度は自分が少しでも力を与えられるように胸を張って頑張ります」

【セッター】
関田 誠大 27歳/堺ブレイザーズ
「夢であり、目標であったオリンピックへの出場が実現するということで非常に嬉しく思います。それと同時に、これまでの多くの支えがなければ実現できなかったことだと思うので、たくさんの人に感謝したいです。日本の代表としての誇りを持ち、ベストパフォーマンスが出せるように準備していきたいと思います。 ネーションズリーグでは大事な場面での1点の重みをより感じました。日本はディフェンスがかなり重要になってくると思います。サーブはより向上させていく必要があります。 期待されているのはサイドアウトやブレイク時にどれだけ効率をよくしていくかと、ディフェンスだと思います。 どんな場面でも小さなきっかけやプレーの積み重ねで流れは変わってくると思いますので、どんな時も諦めず常に考えてプレーしていきたいと思います」

【リベロ】
山本 智大 26歳/堺ブレイザーズ
「開催国の代表選手として、自覚と責任を持って戦います。プレー面においてはレセプション(サーブレシーブ)の関係性を密にすること、ブロックとディフェンスの徹底をすることを心掛けたいです。ディフェンスにおいてはリーダーとなることが期待されていると思うので、レセプション、ディグ(スパイクレシーブ)、鼓舞する声掛けでチームに貢献していきたいです」

(写真・コメント提供:日本バレーボール協会)

WD名古屋:引退の内山正平×高松卓矢が後輩にエール

4月18日に引退セレモニーを行った内山(左)と高松

豊田合成トレフェルサをVリーグ初優勝(2015/16シーズン)へと導いたクリティアンソン・アンデッシュ前監督のもと、主力メンバーとして活躍した内山正平(セッター)、高松卓矢(アウトサイドヒッター)が今シーズンを最後にコートを去った。

2人は2010年に入団。2013年にアンデッシュ氏が監督に就任すると、英語習得に四苦八苦しながらも、同氏のバレーボールに対する考え方に傾倒し、力をつけて豊田合成トレフェルサの黄金期を築いた。2018年より、チームはティリカイネン・トミー監督(2020-21シーズンで退団)に引き継がれ、クラブ化に伴い、2019-20シーズンよりチーム名をウルフドッグス名古屋(以下、WD名古屋)に変更。環境が変化する中で前田一誠(セッター)、高梨健太(アウトサイドヒッター)、小川智大(リベロ)らが成長し、今季、高松は大分三好ヴァイセアドラー(期限付き移籍)でプレーしていた。

4月18日(日)に豊田合成記念体育館エントリオで引退セレモニーを行った高松と内山に心境を聞いた。

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16日(土)からVリーグ再開。安全を最優先しながら大会の成立を目指す

新型コロナ感染を経験した東レも昨年末に活動を再開。万全の準備をして16日からの試合に臨む。


 一般社団法人日本バレーボールリーグ(Vリーグ)機構は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令される見込みがあることを踏まえて、1月8日(金)~11日(月)に予定されていた2020-21 V.LEAGUEの開催を見合わせたが、1月16日(土)から大会を再開する。緊急事態宣言の発令を受けて、人数要件や運動施設の営業時間短縮など、政府、スポーツ庁の対策方針に基づく感染対策の徹底に努め、関係者や地域の人々の安全を最優先しながら大会の成立を目指していく方針だ。  なお、1月8日~11日に予定されていた大会、及び、現在、チームの申し出により大会参加を見送っているV2のサフィルヴァ北海道(17日まで)、きんでんトリニティーブリッツ(2月7日まで)がかかわる大会については、日程、会場も含めて調整していく、としている。  すでにサントリーサンバーズは、1月16日~2月7日までのホームゲームを無観客試合で開催することを発表しているが、今後も自治体の判断やチーム事情などさまざまな要因により、入場者数の変更や無観客試合への変更はもとより、開催方法や日程が変更になる可能性もある。

 非常に厳しい状況だが、今季もV1では下記の大学4年生がVリーグへの登録を済ませており、16日(土)から出場できる。2020年度日本代表の新井雄大、インカレ4連覇の立役者、早稲田大学の宮浦健人、村山豪、中村駿介ら、今季も実力のある選手がV1チームに入団が内定し、Vリーグデビューを狙っている。昨季、東レの富田将馬(#9)が思い切りのいいプレーでチームに勢いを与えたように、戦力として活躍する選手が出てくることを期待したい。

【V1 内定選手(2021年1月16日現在)】
◆ジェイテクトSTINGS
#9 村山 豪(駿台学園高校→早稲田大学在学中/MB)
#15 宮浦健人(鎮西高校→早稲田大学在学中/OP)
#20 都築 仁(星城高校→中央大学在学中/OH)

◆パナソニックパンサーズ
#3 中村駿介(大塚高校→早稲田大学在学中/S)
#19 高橋瑞歩(山形中央高校→筑波大学在学中/MB)
アシスタントコーチ 山口裕太郎(高崎高校→筑波大学在学中)

◆サントリーサンバーズ
#17 樫村大仁(茨城工業高等専門学校→慶應義塾大学在学中/MB)

◆JTサンダーズ広島
#9 新井雄大(上越総合技術高校→東海大学在学中/OH)
#20 坂下純也(駿台学園高校→筑波大学在学中/OH)
#22 西村 信(高川学園高校→日本体育大学在学中/OH)
#23 平井海成(祐誠高校→中央大学在学中/MB)

◆堺ブレイザーズ
#18 梅本鈴太郎(鎮西学院高校→中央大学在学中/MB)※2021年1月23日より出場可

◆東レアローズ
#8 真子康佑(星城高校→東海大学在学中/S)
#11 難波尭弘(四日市工業高校→天理大学在学中/MB)
#12 西本圭吾(尾道高校→福山平成大学在学中/MB)

◆大分三好ヴァイセアドラー
#14 藤原奨太(駿台学園高校→日本体育大学在学中/OH)
#25 小川峻宗(東山高校→日本体育大学在学中/L)

◆VC長野トライデンツ
#3 池田颯太(創造学園高校→明治大学在学中/OP)

全日本インカレ「組織として日本一」を目指した早稲田大が4連覇を達成

1年間の日々の積み重ねが報われた瞬間。(写真提供:一般財団法人 全日本大学バレーボール連盟)

 11月30日(月)に幕を開けた第73回 秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会(ミキプルーンスーパーカレッジバレー2020 )は12月6日(日)に最終日を迎え、早稲田大学がストレートで日本体育大学を下して、4年連続日本一に輝いた。大会を通じて失セット0の完全優勝だった。日本体育大学は、2020年度日本代表の高橋藍(1年/アウトサイド)を攻撃の要に据えて、6年ぶりの決勝戦に臨んだが、セットを奪うことはできなかった。高橋藍は、「高校時代のように、1人の力ではどうにもならない。全員が1つにならなければ、強いチームは完成しない。それを思い知らされた試合だった。今日は自分の力の50%程度。もっと自分自身が力をつけなければいけない」と、話した。

チーム完成度の高さが群を抜いていた早稲田

自信をもって臨んだ決勝戦だったが、早稲田の堅実なバレーを体感し、「学んだことが多かった」と話した高橋藍。(写真提供:一般財団法人 全日本バレーボール連盟)

 日本体育大の山本健之監督が「(早稲田は)チームとしてできあがっている」と話したように、今年の早稲田大は一段と強かった。アウトサイドは大塚達宣(2年/洛南高卒)、水町泰杜(1年/鎮西高卒)、ミドルは村山豪(4年/駿台学園高卒)、上條レイモンド(3年/習志野高卒)、オポジットは宮浦健人(4年/鎮西高卒)、セッターは中村駿介(4年/大塚高卒)、リベロは荒尾怜音(1年/鎮西高卒)と、スタメンはいずれも世代を代表する選手だが、個々の力だけではない。1人ひとりがチームの決まりごとを理解し、チームプレーに徹することができていた。

 例えば、サーブレシーブは大塚、水町、荒尾で担当する。大塚は「昨年と違い、今年は自分が中心となって指示を出す立場。それを全うすることだけを考えていた」という。そのおかげもあって、水町は攻守にのびのびと力を発揮した。「高校時代は自分が決めなければいけない、という思いが強く、被ブロックが多かったが、今は(監督の教えにより)相手のスパイカーと1対1ではなく、1対6という意識で戦っている。難しいボールはリバウンドをとって誰かに決めてもらうなど、自分の役割が見えてきている」と、水町は成長を実感していた。

 チームに指示を出していたのはミドルの村山だ。駿台学園高校時代から、自分たちで考えてプレーしてきた村山は、4年生になるとその能力を大いに発揮。積極的に声を出してゲームを作った。そうした村山の働きに応えるかのように、宮浦はポイントゲッターとして安定感のあるプレーでチームを引っ張った。「自粛期間中から率先してフィジカルトレーニングに取り組み、体がひとまわり大きくなった」という宮浦は、パワーアップしたサーブやスパイクで勝利に貢献した。

個性を認め合い、得意な分野で力を発揮する中で育った自主性

「駿介は明るい性格。チームづくりでもその良さを出してくれていた」と、宮浦が評する、セッターの中村駿介。(写真提供:一般財団法人 全日本バレーボール連盟)

 チームの決まりごとが徹底された背景には、「組織として日本一」というスローガンがある。新チームがスタートする際に、新4年生全員で話し合い、目指すところを言語化したものだ。

「チームスポーツなので、人としてのふるまいやコミュニケーション、あるいは学年の役割などを見直して、しっかりやっていこうということから、この言葉になりました」(村山)

 例年なら春季リーグ戦、東日本インカレを戦い、夏場の強化を経て、秋季リーグ戦に臨む。その集大成となるのが全日本インカレだが、今年はコロナにより大会が相次いで中止となった。モチベーションを保つことが難しかったはずだが、1年次から日本一を成し遂げた先輩の姿を見て育ってきた今年の4年生は耐えた。

「大会中止が伝えられても、(悔しさや不安など、ネガティブな感情を)一切顔に出さなかったのです。その理由を後で聞いたら、『4年生が顔に出したら、3年生以下が何をすればいいのかわからなくなるから』と言っていました。立派だなと思いました」(松井監督)

 互いに個性を認め合い、それぞれが得意な分野でリーダーシップを発揮しながら、チームとしての成長を目指してきた。

 背中で見せるタイプの宮浦は、(活動自粛で)個別に活動しなければいけなくなっても「止まってはいられない。今、できることはなにかと考えて、フィジカルトレーニングや、マインドセットについて書かれた本などを読んで過ごした」という。その考えに至った理由は、早稲田で学んだ1つの考え方にあった。

「試合では、勝ち負けよりも自分たちがやってきたこと、できることを全部出す、ということが求められます。裏を返せば、日々の練習や生活をしっかりやる、ということ。その考えがベースにあったから自然と行動できました」(宮浦)

 村山はチーム強化に積極的に関わった。早稲田大では練習課題を4年生と監督とが話し合って決めるが、「僕が考えている、このチームでこんなことができたらいいね、ということが、村山を中心に4年生からどんどん出てきた。4年生が自分たちで課題を発見し、考えて解決する、そのスキームができたことが、このチームの強みだと思う」と、松井監督。

 日本一が決まった直後のインタビューで監督が感極まったのも、主務やアナリストなどスタッフも含めて、4年生が1つになってチームを牽引し、つかんだ日本一だったからに違いない。

念願の4連覇を果たした早稲田大学。(写真提供:一般財団法人 全日本大学バレーボール連盟)
準優勝は、6年ぶりの決勝のコートで力を尽くした日本体育大学。(写真提供:一般財団法人全日本バレーボール連盟)

【最終結果】

1位 早稲田大学

2位 日本体育大学

3位 日本大学

4位 順天堂大学

ベスト8 近畿大学・明治大学・筑波大学・東海大学

【個人賞】

最優秀選手賞 宮浦 健人(早稲田大4年)

敢闘賞 西村 信(日本体育大4年)

ベストスコアラー賞 高橋 藍(日本体育大1年)

ブロック賞 村山 豪(早稲田大4年)

サーブ賞 宮浦 健人(早稲田大4年)

レシーブ賞 水町 泰杜(早稲田大1年)

セッター賞 中村 駿介(早稲田大4年)

リベロ賞 荒尾 怜音(早稲田大1年)

優秀監督賞 松井 泰二監督(早稲田大)

後悔しない「今」を生きる、プロバレーボーラー渡辺俊介の選択。V2の雄「ヴォレアス北海道」でプレーする意味とは

ヴォレアス北海道のお披露目会見。左/エド・クライン監督、右/降旗雄平GM

昨シーズン、ドイツ・ブンデスリーガ1部のエルトマンに所属し、スタメンリベロとして活躍したプロバレーボーラー渡辺俊介(リベロ/32歳)が、シーズン途中の11月26日(木)に、V2のヴォレアス北海道と入団し、12月6日(日)の大同特殊鋼戦にスタメン出場した。チームに合流してから日が浅いにもかかわらず、サーブレシーブ返球率で87.5%をマーク。渡辺の持ち味である指示の声やチームを鼓舞するパフォーマンスも全開で、見事にチームの勝利に貢献した。

出身地の北海道がつないだ縁

 エド・クライン監督によると、渡辺の名前がコーチ陣の間であがったのは、昨シーズンが終了したあたり。「コロナの影響もあり、海外のリベロ需要は少ない。おそらく海外でチームを見つけることは難しいだろうと思っていたので、『声をかけてみてもいいのでは?』という話をした」という。
 実はその1年前から、監督自身は渡辺に興味を持っていた。東レアローズで良い成績を残しているのに、なぜ退団するのか。なぜドイツなのか。率直に感じた疑問を解き明かすために、渡辺の周辺から情報を収集したり、ドイツリーグの映像を観たりしていたという。
 「日本人選手が海外の選手と対峙した時にどう機能するのか。ビッグサーバーに対するサーブレシーブは、練習、あるいは試合、どちらを通して上達するのか。そうしたさまざまな観点からヨーロッパのリーグを観て研究する」というエド監督は、渡辺がドイツリーグで見せたビッグサーバーに対する適応能力や、体の大きい海外の選手にも負けじと向かっていく闘争心に魅力を感じていた。ヴォレアスの中田桂太郎コーチが順天堂大学時代、渡辺の1学年先輩にあたり、人となりや経歴をよく知ることもあり、獲得したい選手の1人だったが、今シーズンは元日本代表の越川優の獲得にとどまり、16名でスタートを切った。
 ところが、夏場にケガ人や選手の仕事の都合等でチーム強化が思うように進まず、「リベロの必要性を感じた」エド監督は、9月ごろから降旗雄平GMに相談。当初は予算の問題などから慎重だったが、「開幕(10月24日)1週間前に行ったチーム内の紅白戦でもメンバーが揃わなかったため、渡辺選手に意思を聞くことから始めた」(降旗GM)という。
 その時、渡辺はサフィルヴァ北海道の練習に参加していた。サフィルヴァの辻井淳一GMが小学校時代のチームの恩師で、一緒に練習しないか、と提案してくれたのだ。そのサフィルヴァとヴォレアスが、開幕2週間前に練習ゲームを行い、対面したことも1つのきっかけとなって、今回の入団が実現した。

どんな強打にも食らいつく。得点したらコートを走り回る。魂でプレーするスタイルはどのコートでも変わらない。

チームに良い影響を与えるであろう、豊富なキャリアが魅力

 「クラブにとって非常に重要なポジションに、経験豊富でリーダーシップを持つ渡辺選手を獲得できたことは非常に嬉しい。これまでの経験を、すべてチームに落とし込んでほしい」とエド監督が手放しで喜ぶように、今シーズンV1昇格を目指すヴォレアス側のメリットは大きい。
 なにより、チームとして戦うために自分がすべきことを知っている。東レアローズが苦しい時期にキャプテンを任され、試行錯誤しながらチームをV・プレミアリーグ優勝へと導いた。その日々の中で培われた、チームが目標を達成するために必要なマネジメント能力は、ヴォレアスでもよりよい形で発揮されるに違いない。
 尚かつ、日本代表や海外リーグも経験している。「チャレンジマッチを勝ち抜くにはサーブレシーブの強化が必要。強いサーブを打つ選手たちと対峙してきた(渡辺選手の)キャリアは、今後の試合で必ずチームの役に立つ」(エド監督)と、期待を寄せる。
 「リベロのポジションに経験豊かで自信のある選手がいると、周りの選手にもその自信が伝わっていく。渡辺選手は練習前の準備と練習に向かう姿勢も素晴らしいので、そういう部分も、特に若いアウトサイドの選手に学んでほしいと思っています」(エド監督)

32歳という年齢は「国際的な観点ではちょうど脂が乗ってくる時期」とエド監督。期待は大きい。

ヨーロッパ人の監督との出会いはビッグチャンス

 では、選手側のメリットはどこにあるのだろうか--。
 1つは、自分を必要としてくれるチームと出会い、プレーできる場を得られたことだ。
 「今シーズンもエージェントに動いてもらい、チームを探してもらっていました。海外でプレーしたいという気持ちがありましたし、昨シーズン、ぎりぎりまで待ってチャンスが巡ってきたので待つ覚悟はありましたが、10月に入り、Vリーグが始まると焦りを感じるようになりました」
 プロバレーボーラーにとって、チームに所属できないダメージは大きい。入団からわずか10日でヴォレアスでのデビュー戦に臨み、勝利した後に「フィジカルトレーニングはしっかりやってきたので、恥ずかしくないプレーができてよかった」と振り返ったように、個人でできることは限られているからだ。
 「いくらコロナ禍で状況が悪いとはいえ、プレーしなければ次のシーズンにつながらないので、ヴォレアス北海道さんから『一緒に戦ってくれないか』というオファーをいただいた時は、正直なところ、ほっとしました。自分の能力やキャリアを理解し、必要としてくれたことに感謝しています」
 しかも、生まれ育った北海道のチームだ。「北海道に2チーム、Vリーグの看板を背負っているチームがある。僕が小学校の時には考えられなかったようなことが起きていて、ジュニア世代の子たちにとってバレーを見る機会が増えたことがすごく嬉しい。思いがけず故郷でプレーする機会をもらったので、必ずV1に上がるんだ、という強い気持ちをもってプレーしたい」と、お披露目の会見で力強く話したように、おのずとモチベーションが上がる環境にいる。
 さらに大きなメリットは、ヨーロッパのバレーボールに精通するエド監督のもとでプレーできることだ。「プロ選手として、人として、価値を高めるために海外挑戦を続けたい」という渡辺の気持ちを理解した上でのオファーであり、監督をはじめ、選手、スタッフとともにV1昇格、そして日本一を目指せるチームを作っていく日々のなかで得られる知見は、今後の渡辺を支える大きな力となるはずだ。エド監督との対話を通して、英語力にも磨きがかかるに違いない。

海外挑戦をあきらめたわけではない。ヴォレアス入団は夢をつなぐ大いなるチャンスだ。

 同郷で小学生の頃から渡辺を知る一人、ヴォレアスのキャプテン古田史郎(OP)に渡辺の加入について尋ねると、「海外でプレーすることは誰もができることではない。その経験を(渡辺選手が)これからどう表現するのか。それが人々にどう届くのか。そこは1アスリートとして僕自身も知りたいところだ」と話した。新しいクラブチームのあり方を模索し、失敗を恐れることなく挑戦し続けるヴォレアスでは、プロ選手としてのマーケティング力も問われる。そこは今後、注目したいところだが、ヴォレアスで培ったさまざまな力を武器に、エド監督のネットワークを生かして世界へ、という未来もあるかもしれない。
 「今」がどんな状況であっても、「いつ転がってくるかわからないチャンスに備えて、やれることをやるだけ」と言う渡辺。その信念を貫き、つかんだヴォレアス入団が、単なる助っ人ではなく、「後進に、こんな道もあるんだということを伝えたい」という思いをかなえる布石となりそうで楽しみだ。

【プロフィール】
渡辺俊介(わたなべ しゅんすけ)
北海道江別市出身 32歳
小学校からバレーボールを始める。中学校を卒業後、北海道を離れて埼玉県立深谷高校に進学し、春高バレーで2連覇を達成。順天堂大学では4年生の年に全日本インカレで優勝。学生時代はアタッカーとして輝かしい成績を残したが、東レアローズ(2011年から2019年まで在籍)入団後にリベロに転向。キャプテンを務めた2016-17シーズンに、V・プレミアリーグで優勝を果たした。その活躍により、2017年度日本代表に選出され、ワールドリーグに出場した。さらなる飛躍を求めてプロに転向した2019-20シーズンは、待望の海外リーグ挑戦が実現。ドイツ・ブンデスリーガ1部のエルトマンと契約し、スタメンリベロとして活躍した。

文/金子裕美

早大、日体大が決勝へ。高橋塁と藍が初の兄弟対決、そして最終戦への思いを語る

兄弟対決の後、弟の高橋藍(左)が高橋塁(右)に歩み寄り、ツーショットが実現。仲のいい兄弟だ。

第73回 秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会(ミキプルーンスーパーカレッジバレー2020 )は12月4日(金)に5日目を迎え、準決勝、2試合が行われた。4年連続日本一を目指す早稲田大は、決勝を意識してか、やや硬さが見られたが、粘る順天堂大をストレートで下して決勝戦進出を決めた。続く日本体育大と日本大の一戦は、日本代表の高橋藍(日本体育大1年)と塁(日本大3年)の兄弟対決として注目を集めたが、西村信(主将/アウトサイド)、高橋良(オポジット)ら4年生に支えられて、高橋藍がのびのびとプレー。攻めの姿勢を貫いた日本体育大が日本大をストレートで破り、6年ぶりに決勝戦進出を決めた。12月5日(土)は3位決定戦〈順天堂大対日本大〉が行われる。

高校(京都・東山高)ではチームメイトだった高橋兄弟。初めての対戦が全日本インカレ準決勝の舞台で実現した。戦うことが決まり、先に反応したのは弟の藍だった。兄の塁へ「明日よろしくね」というメッセージを送り、兄弟でやりとりした後、家族LINEで兄弟対決を話題に盛り上がったという。「どちらが勝っても、悔いのない戦いを」という家族の言葉を受けて、「楽しんでプレーする」と決めた藍は、「(兄との対戦は)未知だったので、どんな感じなのかなとわくわくしながらコートに立った。いつになく新鮮な気持ちだった」と、試合前の気持ちを振り返った。「兄はサーブがいい。自分の位置では取りづらい回転をかけてくるので、兄のサーブでこちらがリズムを取られないようにしなければいけない…。それだけは意識していました」

一方、塁は、兄弟対決を楽しみにしていたものの、「前日(東海大戦)、調子が悪かったので、チームの雰囲気とともに自分の調子も上げて、なんとか勝利したいと思っていた」と、胸の内を明かした。「僕も藍もミスをしないプレースタイル。そこは共通していますが、僕は高さがない分、技で勝負したかった。でも、今日は自分の持ち味が出せなかった。藍は上からたたき込んできた」と悔しさをにじませた。

いつもの兄ではない、ということは、コート上で藍も察していた。「自分たちが仕掛けたことがはまったのかもしれないですけど、もっとブロックアウトだったり、インナーに打ったり…。そういう技術をもっている選手なので、おかしいなと。今日は調子が悪かったのかもしれません。いつもどおりのプレーをされていたら、こんなに楽に勝つことはできなかったんじゃないかと思います」

兄は技術、弟は高さが持ち味。セット序盤は競り合うも、日体大が徐々に抜け出し、優勢のまま試合を決めた。

「自分はずっと兄を見てバレーボールをやってきた。尊敬している選手」と藍が言えば、「藍はすごい選手。藍をはじめ、(大学界には)すごい選手がたくさんいるので、そういう人たちに勝てるように挑戦していきたい」と、塁にとっても藍は気持ちを掻き立てる存在だ。兄弟対決で思いを再認識した2人は、残っているそれぞれの一戦にかける意気込みを語った。

5日(土)の3位決定戦に臨む塁は、この日に感じた「もっとできたんじゃないかな」という思いを払拭し、日本大を表彰台へ、と気持ちを切り替えた。「(困難を乗り越え)チームがまとまって頑張れた結果が今、ここにいるということ。『乗せたら怖いチーム』と言われているが、来年度はいい時と悪い時の差を縮めて、ベスト4に恥じない力をつけたい。そのためにも、(3位決定戦は)しっかり戦いたい」と闘志を燃やす。

6日(日)の決勝戦に臨む藍は、「日体大も早稲田も(強い)スパイクやサーブを打てる選手が多いので、サイドアウトの勝負になりそう。いかにサイドアウトを取るかが勝負を分けるので、出だしからすごい駆け引きになるのかなと思う」と話した。今年、シニア日本代表の合宿や紅白戦に参加した藍は、「そこで自分らしいプレーができたので、自信がつき、気持ちに余裕ができた」と言う。早稲田にも同様の経験を積んだ大塚達宣(2年/アウトサイド)がいる。宮浦健人(4年/オポジット)、村山豪(4年/ミドル)、水町泰杜(1年/アウトサイド)らもアンダーカテゴリーの代表経験が豊富。尚かつチーム力も備えている早稲田大を相手に「自分の攻撃がどれだけ通用するのか。勝つために練習してきているので、王者である早稲田をどれだけ追い込んで、倒せるか。自分自身もすごく楽しみ」と、目を輝かせていた。

【準決勝 試合結果】

早稲田大学 3-0 順天堂大学

日本体育大学 3-0 日本大学

【3位決定戦 対戦カード】

順天堂大学 vs 日本大学 14時30分よりDAZNで視聴できます